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スターバックス横浜海の公園店に行ってきました|明治28年の文化財

横浜へお出かけ
この記事は約11分で読めます。

横浜で唯一の海水浴場がある金沢区「海の公園」。夏は潮干狩りや海水浴でにぎわうこの公園に、2026年8月10日(月)、ちょっと特別なスターバックスがオープンします。しかも入るのは、明治時代に建てられた国の登録有形文化財。オープン前の内覧会にご招待いただき、ひと足先に店内を見てきたのでご紹介いたします。

「スターバックス コーヒー 横浜海の公園店」は、横浜市内で初めて登録有形文化財の建物に出店するスターバックスです。
公園内への出店も横浜市内では初。建物が建てられたのは1895年(明治28年)で、スターバックスが横浜に出店してから2027年でちょうど30年という節目を前に生まれた、かなり異色の一店です。

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店舗情報|2026年8月10日オープン・全50席以上

オープン日:2026年8月10日(月)
店舗名:スターバックス コーヒー 横浜海の公園店
所在地:神奈川県横浜市金沢区海の公園10
営業時間:5月~10月 8:00~21:00/11月~4月 8:00~19:00
席数:50席以上(うちスターバックス専有の客席26席)
店舗面積:37.24坪(建物面積129.07坪)

まず押さえておきたいのが、営業時間が季節によって変わるという点です。海水浴シーズンを含む5月~10月は21時まで、11月~4月は19時まで。訪れる時期によって閉店時間が2時間違うので、夕方以降に立ち寄る予定の方はご注意ください。

そしてもうひとつ、事前に知っておくと安心なのが座席の考え方です。

26席は、バーカウンター正面のお部屋にあるスターバックス専有の客席数ここだけを見ると「かなりコンパクトだな」という印象を受けますが、実際に座れる場所はこれだけではありません。

共用スペースである廊下や、内覧会で最初に待たせていただいたお部屋(後述する「歴史・魅力の増進スペース」内の休憩室)でも、スターバックスの商品を飲食できます。これらを合わせると、利用できる座席は全体で50席以上

建物面積129.07坪のうち店舗部分は37.24坪ですが、建物全体を使ってくつろげる設計になっているわけですね。文化財の建物をそのまま活かしているぶん、ひとつの部屋に席を詰め込むのではなく、いくつもの空間に分けて座れるようにしている——という印象を受けました。

横浜市内の新店舗情報は「スターバックス関連記事一覧」からまとめてご覧いただけます。

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横浜市初、登録有形文化財のなかにできたスターバックス

スターバックスには全国に「地域とつながる店舗」と呼ばれる特別な店舗がいくつもありますが、今回の横浜海の公園店は、横浜にとって2つの「初めて」を持っています。

横浜市内で初となる、登録有形文化財内への出店
国に登録された歴史的建造物「旧長濱検疫所一号停留所(きゅうながはまけんえきしょ いちごうていりゅうじょ)」の建物そのものが店舗になっています。

横浜市内で初となる、公園内への出店
海の公園という市民の憩いの場のなかに、日常使いできるカフェが誕生します。

建物の目の前には約1kmにわたる砂浜が広がり、窓の外は海と松林。歴史的建造物の重厚さと、海辺の開放感が同時に味わえるという、なかなか例のないロケーションです。

横浜市内のスターバックスは駅前や商業施設内の店舗が中心で、直近では「BASEGATE横浜関内 スターバックス ティー & カフェに行ってきた」で紹介した関内駅前の店舗や、「横浜駅周辺で最大級!新店舗『スターバックス 横浜ジョイナス2階店』が1月28日(水)オープン」のような駅直結型が続いていました。

そんななかで「公園のなかの洋館でコーヒーを飲む」という選択肢が増えたのは、横浜のカフェシーンにとってかなり大きな変化だと感じています。

明治28年築、検疫所の停留施設が店舗になるまで

店舗が入る「旧長濱検疫所一号停留所」は、1895年(明治28年)に建設された建物です。当時は長濱検疫所の上等船客用の停留施設として使われ、日本の近代検疫制度の発展を支えてきました。

その後、1923年(大正12年)の関東大震災で被害を受けたものの、翌年には復旧工事が行われ、現在に伝わる姿へと再建。長い時間を経て、2025年(令和7年)3月に現在の海の公園の場所へと移築されました。

内覧会で横浜市の方から伺ってなるほどと思ったのが、この建物の評価のされ方です。

船で到着した乗客が一定期間そこで生活する施設だったため、実質的には宿泊施設。そのため「日本の洋風ホテル建築の最初期をいまに伝える貴重な遺構」として建築史的な価値が高く評価され、平成30年に国の登録有形文化財に登録されたのだそうです。

洋風の照明など特徴的な装飾が施されており、明治期としては先進的な洋風建築のひとつ。「検疫所」と聞くと少し無機質な印象を受けますが、実際に足を踏み入れると、想像していたよりずっと上品でやわらかい空気が流れていました。

等級ごとに部屋が分かれていた停留施設という歴史

この建物がどう使われていたのかも、内覧会で詳しく説明していただきました。

当時、船で日本に到着した乗客のなかに感染症の疑いがある方がいた場合、一定期間この施設に滞在してもらう仕組みになっていました。いまで言えば隔離施設にあたる場所です。

興味深いのは、部屋が等級ごとに分かれていたという点。壁で仕切られた複数の部屋があり、滞在中は基本的にそれぞれの部屋で過ごす。しかも滞在にあたっては費用が発生していたそうです。船の客室に等級があったように、停留施設にも同じ考え方が持ち込まれていたわけですね。

いま店舗として使われているのは、そのうち上等船客用にあてられた建物。装飾がきれいに残っているのは、もともと格式の高い空間だったからだと考えると腑に落ちます。

不安な気持ちで過ごしたであろう人たちの滞在した場所が、100年以上を経てコーヒーを楽しむ場所になっている。そう思うと、席に座ったときの感じ方が少し変わってきます。

大正時代の壁紙がそのまま残る客席空間

店内でぜひ注目してほしいのが、内装の保存・活用のされ方です。

大正時代の色彩を再現した緑色の腰壁
移築時の調査をもとに、当時の色味を再現しています。

青色の床材
緑の腰壁とのコントラストが美しく、写真に撮るととても映えます。

建物に残る当時の壁紙
新しく張り替えるのではなく、残っているものを保存したうえで活用しています。

そして、これは内覧会で店舗デザインを担当された方から聞いて思わず「えっ」と声が出たポイント。

談話室側と食堂側で、残っている壁紙の柄が違うのだそうです。

ぱっと見ではまず気づきません。どちらも同系統の落ち着いたトーンなので、言われるまで同じ壁紙だと思い込んでいました。ところが教えてもらってから見比べると、確かに別の柄。当時、部屋ごとに役割や格式が分かれていた名残だと考えられます。

床・壁・天井・照明についても、可能なかぎり当時の図面に沿って復元されているとのこと。新しく手を加える部分は極力控え、当時の姿を伝えるものはできるだけそのまま残すという方針で工事が進められたそうです。

訪れた際は、ぜひ両方の部屋の壁をじっくり見比べてみてください。知っているかどうかで、この店舗の楽しみ方が確実に変わります。

曲木の椅子と大きなコミュニティテーブル

客席になっているのは、かつて食堂として使われていた部屋。ここには当時をイメージした大きなコミュニティテーブルと、曲木(まげき)の椅子が設置されています。

曲木の椅子とは、木材を蒸気で柔らかくして曲げ、成形したクラシックな椅子のこと。19世紀のヨーロッパで広まり、日本でも洋館やクラシックなカフェの定番となったスタイルです。直線的なモダンチェアとは違う、やわらかな曲線が空間全体の雰囲気をつくっています。

併設の展示スペースには、この部屋がかつて食堂だった当時の古い写真が数枚展示されています。

「真ん中に大きなテーブルを置いて、こういう椅子を使っていたんだな」という当時の光景を尊重してレイアウトが決められた、というお話でした。展示の写真を見てから客席に座ると、100年以上前の風景と自分の座っている場所が重なる。 ほかのスターバックスではまず味わえない感覚です。

なお、大きなコミュニティテーブルが中心のレイアウトなので、少人数でも相席になる可能性があります。ゆっくり過ごしたい方は時間帯をずらすのがおすすめです。

とはいえ、この部屋が満席でも慌てる必要はありません。廊下や、次にご紹介する休憩室でもスターバックスの商品を楽しめるので、そのときの気分や混み具合で居場所を選べます。「コミュニティテーブルで過ごすか、静かな部屋に移るか」を選べるのは、部屋がいくつも連なる文化財の建物ならではだと感じました。

横浜からシアトルへ、航路がつないだ店舗デザイン

店内デザインのテーマは「航海」。ロープや帆布をモチーフにしたデザインが取り入れられ、シアトルの風景や港をテーマにしたアートが展示されています。

なぜシアトルと横浜なのか。理由を聞いて、この店舗のストーリーが一気に腑に落ちました。

出店にあたって歴史を調べていくなかで、かつて横浜からシアトルへ向かう定期航路が存在していたことが分かったのだそうです。「シアトル丸」という船が、この横浜港とスターバックス発祥の地シアトルを実際に結んでいた——。

さらにシアトル側の港にも当時の倉庫が残っており、その一帯とスターバックスの歩みが重なっていく。横浜の港町としての歴史と、シアトルのコーヒー文化。この2つを1本の航路が結んでいたという事実を、そのまま店舗デザインに落とし込んだのが横浜海の公園店です。

「歴史的建造物にスターバックスが入りました」だけで終わらせず、建物の歴史とブランドの歴史が1本の線でつながっている。そこがこの店舗のいちばんの面白さだと感じました。

バーカウンターは船、客席はかつての食堂

デザインは、部屋ごとに役割が分けられています。

バーカウンター周り
コーヒーを積んで海を渡ってきた船をイメージした構成。ロープや帆布のモチーフが集中しているのもこのエリアです。

客席エリア(旧・食堂)
アットホームな空間として設計され、シアトルの街並みやパイクプレイスのスケッチを思わせるアートが飾られています。

実際に歩いてみると、カウンターから客席へ移動する数歩のあいだに、空気感がすっと切り替わるのが分かります。「船で運ばれてきたコーヒーを、港町の食堂でいただく」という物語をそのまま体感できる導線になっているわけですね。

シアトルを旅したことがある方なら、アートを見て「あ、あの景色だ」と気づく瞬間があるかもしれません。

買い物なしでも入れる「歴史・魅力の増進スペース」を併設

店舗に隣接して、横浜市と海の公園の指定管理者が連携して運営する「歴史・魅力の増進スペース」が併設されます。

パネル展示エリア
「旧長濱検疫所一号停留所」の歴史や文化的価値、そして地域の歴史を紹介しています。

地域の交流・活動スペース
地域の皆さんの交流や、多様な活動に活用できる空間としても整備されています。

建物に入ると、まずこの増進スペースを通ってからスターバックスへとつながる動線になっています。建物と地域の歴史に触れてから席に着く——という流れそのものが設計されているわけです。順路として自然に歴史が目に入るので、「展示をわざわざ見に行く」という気負いがないのがいいところ。

ちなみに、この増進スペース内の休憩室は、建物が検疫施設だった当時「談話室」と呼ばれていた部屋です。長い船旅と検疫という不安な時間を過ごす人たちの気持ちをほぐすため、音楽が流されていたという記録も残っているのだとか。

そして現在、この休憩室はスターバックスを利用する方だけでなく、公園に遊びに来た方も休憩に使えるスペースとして開放される予定とのこと。海水浴や潮干狩りの合間にひと息つける場所があるのは、海の公園を訪れる人にとってかなり心強いはずです。
さらにうれしいのが、この休憩室や共用の廊下でも、スターバックスで購入した商品をそのまま飲食できるという点。バーカウンター正面の客席が埋まっていても、ドリンク片手に歴史のパネル展示を眺めながらひと休み、という過ごし方ができます。
もともと「談話室」として人の気持ちをほぐしてきた部屋が、100年以上を経てまた同じ役割を担っている。そう考えると、なんだかいい巡り合わせだなと思います。

海水浴やBBQと合わせて楽しむ海辺のスターバックス

今回の内覧会でいちばん強く感じたのは、この店舗が「カフェに行く」ではなく「一日の過ごし方に組み込む」タイプの店舗だということです。

海の公園は、金沢地先埋立事業の一環として整備され、1988年(昭和63年)に開園した、横浜で唯一の海水浴場をもつ公園。約1kmにわたる砂浜と豊かな緑が広がり、海と人とがふれあえる貴重な憩いの空間になっています。

春先には潮干狩り、夏には海水浴シーズンを迎えて多くの人でにぎわい、園内にはビーチバレー場、ウインドサーフィン艇庫などのマリンスポーツ施設も完備。サッカーなどに利用できる芝生のグラウンド「なぎさ広場」やバーベキュー場もあり、さまざまな海辺のレジャーが楽しめます。

そんな一日のなかに、歴史的建造物のカフェが加わる。海で遊んだあとに文化財でひと休みして、また砂浜に戻る——そんな贅沢な過ごし方ができるようになります。

正直に言うと、内覧会に伺うまでは「公園のスタバ」くらいの気持ちでいました。でも実際に入ってみると、天井の高さも、緑色の腰壁の色味も、窓から入る光の量も、駅前の店舗とはまったく違う。同じドリンクを頼んでも、飲む場所でここまで体験が変わるのかと驚かされました…。

海の公園そのものの楽しみ方は「夏は横浜唯一の海水浴場『海の公園』で楽しもう!」で詳しくご紹介しているので、あわせてどうぞ。

訪れる前に知っておきたい3つのポイント

最後に、実際に行く前にチェックしておきたい点をまとめておきます。

1. 座れる場所は「客席26席+共用スペース」で50席以上
バーカウンター正面のお部屋にあるスターバックス専有の客席は26席ですが、共用の廊下や休憩室でも商品を飲食でき、全体では50席以上。オープン直後や夏の週末は混み合うことが予想されるので、席が埋まっていたら共用スペースに目を向けてみてください。営業は朝8時からなので、ゆっくり過ごしたいなら午前中の早い時間が狙い目です。

2. 営業時間が季節で変わる
5月~10月は8:00~21:00、11月~4月は8:00~19:00。冬場に「夕方から行こう」と思っていると閉店時間が早いので注意してください。

3. 建物を「見る」時間も確保しておく
壁紙の柄の違い、緑の腰壁、青い床材、曲木の椅子、増進スペースの展示。コーヒーを飲むだけで帰るのはもったいない店舗です。少し余裕をもったスケジュールで訪れることをおすすめします。

明治28年に建てられ、関東大震災を乗り越え、2025年に海のそばへ移築された建物。そこに、横浜とシアトルを結んでいた航路の物語が重なる。

歴史を知ってから座るコーヒーの一杯は、いつもと少しだけ違う味がするはずです。この夏、横浜ならではの過ごし方をぜひ体験してみてください!