こんなところに!?横浜駅東口にあるビワの木
横浜駅東口、横浜中央郵便局と崎陽軒の間の道を帷子川方向に進むと、進行方向右側のドトール前の街路樹スペースに一本、ビワの木が生えています。
高さは目測で約5〜6メートル。枝葉はかなり生い茂り、青々とした肉厚の細長い葉っぱ。
こんなところに!?横浜駅東口にあるビワの木
私がその存在に気付いたのは4月で花や実はついていませんでした。でも明らかにビワの木。
そして時が経ち5月中ごろになるとオレンジ色のおいしそうな果実が…
やっぱりビワ。
しかも結構たくさん実っていました。
こんなところになぜビワ?食べられないのでしょうか?
ちなみにこの道の街路樹スペースは主にツツジが植えられているものの、ところどころに他の木やショウガ科の草花が植えられていて、割とバリエーション豊かです。
しかしなぜビワ…。
また写真の通り、たわわに実るビワはかなり存在感を放つものの、人々は特に振り向いたり、見上げたりもしない様子…
忙しい通勤時間帯だからかもしれませんが、毎年よく実っていて珍しくもないのかもしれません。
このビワの木が一体どんな経緯で生えてきて、どのくらい存在しているのかなど、そもそもビワがどんな植物なのか、調べてみました。
街路樹のビワを調査
なぜここにビワの木があるのか
これについては管轄の行政(横浜市西土木事務所と横浜市道路局)に問い合わせてみました。
【質問】 なぜここにビワの木があるのでしょうか?
誰かが植えたものなのか、勝手に生えてきたのか。勝手に生えてきたなら、何が原因と思われますか。
【回答】当該ビワの木を街路樹として植栽した記録がないため、実生木になると考えます。
実生木が生えた経緯については、不明です。
実生木(みしょうぼく)とは風や鳥などが運んできた種から発芽し、生長した樹木のことを言います。
実生木(みしょうぼく)についてのお願い|TOKYO霊園さんぽ
通常、問い合わせ先の行政が植栽をする場合は、苗を植えるそうです。
今回のビワに関しては、行政が植えたわけではなく、なぜ生えてきたのかは不明だそうです。
風で吹かれてきたり、鳥が運んできたり、動物の糞の中に入っていたり、人間が路上で食べて種を捨てた可能性も…色々な理由が考えられます。
でも、ビワってこぼれ種からでも大きな木になるものなのですね。
いつからあるのか
こちらも上記行政に問い合わせてみました。
【質問】(このビワの木は)いつからあるのでしょうか。
【回答】実生木のため、いつからこの場所にあるかは不明です。
行政では記録がないので、いつからあるのかは不明との事。
地元の方に聞いてみると、少なくとも5年前にはビワの木はあって実をつけていた、とのことでした。
ここのビワは目測で5〜6メートル。何年くらいでこんなに大きくなるのだろう?
ふと思って、ビワの成長について調べてみました。
びわは種から育てると、実がなるまでに8〜10年かかります。
【果樹栽培】【びわの育て方】| 栽培のコツなど失敗しない育て方についてご紹介します! | 植物とあなたをつなぐPlantia
おお、8〜10年もかかるとは…!
結実してから少なくとも5年は経過しているとすると、13年以上はあの場所で育っているのでしょうか。
そして5〜6mの高さになるまでに何年かかるのかわかりませんでしたが、どうやら成長は早いようです。
また5〜10mくらいには成長する様子。まだ伸びるかもしれませんね。
Googlemapのストリートビューで確認できる最古の画像は2009年でした。
現在は2024年なので、15年前には既に隣の建物の3階まで伸びていたようです。
この時点で結実しているかどうかは確認できませんが、かなり長きにわたってあの場所で育っているようですね。
ちなみに現在は、さらに4階まで伸びているのが確認できます。
それにしても越冬もしているわけで、思ったよりも強い植物なのかもしれません。
ビワという植物はそんなに強いのか
インターネットで調べてみたところ、10世紀ごろには日本の書物にビワに関する記載があり、その頃には日本に自生していたとされています。
ただし種が大きく食べるところが少なかったため、食用としてではなく、木材や、葉を薬として利用していました。今でもビワの葉茶は色々な効能があるとされていますよね。
さて、その後江戸時代末期に中国から、実が大きくて食用価値の高いビワ種がもたらされました。
明治に品種改良が進み現在の食用ビワの栽培が広まったようです。
ビワをおいしく食べる習慣はこの辺りから始まったのではないでしょうか。
野生ビワにとっての困難
元々日本に自生していた野生種があり、可食部は少なくても実もつけていた。
ビワ自体は農園でしかお目にかかれないような植物ではないわけですね。
食べ終わったタネを庭に植えたら発芽するということも結構あるようです。
さらに害虫にも強く無農薬でも育つようで、野生でも育ちやすい植物なのかもしれません。
ただしポイントがあるようです。
ビワの花は12月頃に開花するものの、寒さに弱いとのこと。実もまた寒さに弱いらしく、-3℃を下回ると落果してしまうそうです。落ちてしまったら大きく実りません。
野生の強さを持ちながらも、やはりそれなりに困難を乗り越えて実をつけているのですね。
-3°Cというと横浜では行くか行かないか、というところでしょうか。ギリギリのところで耐えているのかもしれません。健気です。
ちなみにビワのつぼみと花はこんな感じらしいです。個性的でかわいい白い花ですね。
庭先で実るビワは市販果実よりも小さい傾向にありますが、家庭でも大きな果実を収穫するにはいくつかポイントがあります。
①まずは冬の寒さです。秋から冬に開花し、小さな果実の状態で越冬するため寒さに弱く、-3℃を下回ると落果します。そのため、冬は鉢植えを室内の日当たりのよい場所など、暖かい場所に移動します。
びわの失敗しない育て方!植え付け方や剪定時期について解説
ところで、このビワ、食べてみることはできるのでしょうか。
見ている限りでは、実ったビワは落下していて収穫はされていないようですが…
街路樹のビワは食べられるのか?
市のHPでは、街路樹の実は「落ちているものであれば拾って持ち帰っても構いません」と記載があります。
さらに行政に聞いてみました。
【質問】木になっているビワの採取について。市のHPでは、「落ちているものであれば拾って持ち帰っても構いません」と記載があります。
木になっている実は、街路樹を管轄する行政のものになるのでしょうか。
もし管轄する行政に許可をとれば、木になっている実を採取して食べることは可能なのでしょうか。
【回答】樹木等の管理者は基本的には土地の所有者になるため、当該樹木につきましては、横浜市の管理となります。
街路樹の場合、木になっている実を採取することの許可は想定していません。
市のHPで案内しているとおり、落ちているものであれば拾って持ち帰っても構いません。
このビワの木については横浜市の管理でした。
ただ「木になっている実を採取することの許可は想定していない」とのこと。
とはいっても落ちているものを食べてみることはないでしょうから、あくまで見て楽しむだけのようです。
一体どんな味がするのか、少し気にはなりますが。
でもビワについて少し学んだ今なら、種が大きいかどうかで、食用種なのか自生種なのかはわかるかもしれないですね。
この記事を書いている8月の今、あの木から落ちた果実たちはすでに無くなっており、確認の術がありませんが、来期には拾って確認してみるのもよいかもしれません。
街路樹のビワ
スーパーで売っているビワは、どこか高級食材のような雰囲気があり高価なことが多い気がします。
でも日本には昔から野生のビワが存在していた。花実は寒さに弱いものの街路樹スペースでたくましく、温暖化の影響という話もあるかもしれませんが、幸運にも花を落とさずにたわわに実をつけるまでに育っています。
私は4月からこの通りを通勤で歩き始めて、このビワの木に気が付きました。
花は見ていませんので、既に花を落として実を大きくしていたところだったのでしょう。
ビワの開花は12月頃とのこと。この冬は、ビワの花を楽しみにしようと思います。
皆様も、いつも通る道を歩きながら街路樹を眺めて、つかの間、植物の生命力を感じてみてはいかがでしょうか。
参考:
ビワの剪定方法を解説!時期や仕立て方、樹高を低く抑える方法は?
https://greensnap.co.jp/columns/loquat_pruning
ビワとは – 生態や形態の特徴解説 – ZUKAN(図鑑)
https://www.zukan.earth/descriptions/10/2626189
ビワ – Wikipedia –
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%93%E3%83%AF
びわの失敗しない育て方!植え付け方や剪定時期について解説
https://meetsmore.com/t/gardening/media/85076