2026年9月、横浜駅西口の映画館「ムービル」が閉館する。このニュースを聞いて、胸がぎゅっと締め付けられたのは私だけではないはずです。「感づいてはいたけど、えっ、あのムービルが…?」という驚きと寂しさ。
なぜ閉店するのか、跡地には何ができるのか。私なりに振り返ってみました。
ムービルが閉店する本当の理由

2026年3月5日、2026年9月30日をもってムービルが閉館することが正式に発表されました。
閉店の理由は、施設の老朽化と、相鉄グループが推進する「横浜駅西口大改造構想」という超長期的な再開発プロジェクトです。

現在のムービルが入る「相鉄南幸第2ビル」は1988年に開業し、すでに38年が経過しています。建物の定期建物賃貸借契約の満了に伴い、この一帯を更地にして新たな街づくりを進めることが決まりました。
単なる「建て替え」ではなく、横浜駅西口全体を2040年代までかけて作り変える、数十年単位の一大プロジェクト。ムービルの閉館は、その幕開けを告げる第一歩なのです。
半世紀以上愛され続けた「横浜の映画館」の歴史

ムービルの歴史は、現在の建物よりさらに前、初代「相鉄ムービル」時代から始まります。その営業期間は、実に半世紀以上。
私の記憶も、この初代から現在の建物に移り変わる頃から始まります。昔、白楽に住んでいた頃は、西口で映画といえばムービルでした。
観たい映画があると、少しでも安く済ませようと近くの金券ショップ(チケット屋さん)に寄ってから向かったのは、私だけではないはずです(笑)。
1988年11月に開業した現在のビルは、当時の最先端を行く複合文化施設でした。
2階と4階に5つのスクリーン(合計1,956席)を備え、当時3階には「相鉄本多劇場」という小劇場も。映画と演劇、そしてライブハウスやジャズバーまで、一つのビルで多様なエンターテインメントが楽しめる空間だったのです。

シネコン時代も生き残った奇跡の映画館
実は、ムービルは一度、存続の危機に直面しています。
1999年、みなとみらいにワーナー・マイカル・シネマズ(現イオンシネマ)が開業すると、広くて快適なシネコンへお客さんが流れていきました。2000年代に入ると経営は悪化し、2005年には相鉄グループが映画館事業からの撤退を発表。
しかし、ここで救いの手が差し伸べられます。全国で「109シネマズ」を展開する東急レクリエーションが運営を引き継ぐことになったのです。
2006年6月1日、施設名から「相鉄」の冠が外れ、シンプルな「ムービル」へと改称。内装もリニューアルされ、3Dデジタルシステムも導入。ネットで座席指定ができる便利さも加わりました。
おかげで最近は、横浜駅周辺に新しい映画館がたくさんできた今でも、自宅から徒歩5分でふらっと行けて、当日でもゆったり座れるムービルは、私にとって最高の「穴場」でした。

この時のことよく覚えています。相鉄ムービルがなくなり横浜ムービルが開館するまで、真っ暗でした。 もう映画館はなくなると諦めていた時に…109さんに感謝です
映画だけじゃない、ムービルの思い出
ムービルといえば、映画だけではありません。
ビル内には飲食店やヘアサロン、そして何より、南幸(みなみさいわい)地域で有名な佐布さんが手掛けるライブハウスが入っています。過去にはそこでイベントをやらせていただく機会もあり、本当に思い出深い場所です。
某焼き肉やの火事事件もありましたね…

もう一つ、地元民ならではの思い出が「川を越えるあの陸橋」です。

夜、横浜駅から自宅へ帰る際、下の一般道を通るとどうしても繁華街の客引きや喧騒で歩きづらいのですが、あの橋を渡ると、そうした喧騒を避けてノンストレスで帰ることができました。私にとってのホッとする帰り道でした。
数年前、施設の関係者とお話しした際、「再開発の計画はあるけれど、これだけ大きな施設だから色々な調整があって時間がかかっているんだよ」と伺ったことがあります。それがついに動き出すのですね。
一緒に閉館するのはムービルだけじゃない
今回の閉館発表で見落とせないのは、ムービルだけが閉まるわけではないという点です。
隣接するライブハウス「1000 CLUB(相鉄南幸第10ビル)」、そして人気の飲食店街「横浜西口一番街(相鉄南幸第13ビル)」も、同じ2026年9月30日に閉館することが決まっています。

3棟同時閉館これは、相鉄グループがこの街区全体を一体的に再開発する意思の表れ。点ではなく、面で街を作り変えようとしているのです。
横浜駅西口が目指す「Well-Crossing」な未来
では、ムービルの跡地には何ができるのでしょうか?
相鉄グループが2024年9月に発表した「横浜駅西口大改造構想」によると、2040年代に向けて、横浜駅西口は全く新しい都市空間へと生まれ変わります。

その中核コンセプトが「Well-Crossing(ウェル・クロッシング)」。従来の「人が行き交うターミナル」「買い物する繁華街」という機能に、「Well-being(心身の豊かさ)」という価値を融合させ、多様な人々が交差(クロッシング)する街を目指しています。
将来像を実現する3つの方向性
- 歩行者優先の駅前空間
車で占有されていた空間を、安全で心地よく過ごせる広場へ。単に通り過ぎるだけでなく、集い、滞在できる場所になります。 - 水辺を活かした親水空間
現在は活用が限定的な河川空間を、市民が水辺に近づける憩いのエリアへ。構想図には「水辺のマーケット」の姿も描かれています。 - 24時間楽しめるエンターテインメント
ロボットやデジタルサイネージが街のコンシェルジュとなり、アート展示やワークショップ、体験型イベントがシームレスに展開。エンターテインメントが「消費するもの」から「共創するもの」へと進化する空間です。

ムービル閉店に関するよくある疑問
- Qムービルはいつ閉館しますか?
- A
2026年9月30日(水)をもって、映画館としての営業を終了します。
- Q閉館後、109シネマズのポイントはどうなりますか?
- A
ムービルで貯めた「109シネマズ」のシネマポイントや会員特典は、閉館後も引き続き利用できます。神奈川県内では「109シネマズゆめが丘」「109シネマズ港北」「109シネマズ川崎」などで使えるのでご安心ください。
- Q跡地には何ができますか?
- A
具体的な施設内容はまだ発表されていません。ただし、相鉄グループの「横浜駅西口大改造構想」に基づき、歩行者優先の広場、水辺のマーケット、最新技術を活用したエンターテインメント空間などが整備される予定です。2040年代までの長期プロジェクトとして段階的に進行します。
- Qお別れイベントはありますか?
- A
東急レクリエーションは、9月末の閉館に向けてムービルの歴史を振り返る特別イベントを企画しています。詳細は後日発表される予定です。
ありがとう、ムービル。そして新しい横浜へ
ムービルをはじめ、5番街などこの周辺の再開発がいよいよ本格化します。
思い出の場所がなくなるのは少し寂しいですが、新しく生まれ変わる横浜の街がどんな景色を見せてくれるのか、前向きに楽しみにしたいと思います。
ムービルのスクリーンから放たれていた光は2026年秋をもって一度消えますが、その場所が歩行者優先の美しい広場となり、水辺のマーケットを生み、誰もが主役になれるオープンなエンターテインメント空間へと生まれ変わる
そう考えると、少しだけ前を向けますよね。
ムービルが培ってきた「文化を発信し、人々を魅了する」という精神は、形を変えて2040年代の新しい横浜駅西口へ受け継がれていくことでしょう。
ありがとう、ムービル!
みなさんにとって、ムービルの思い出の映画は何ですか?
私はたくさんあって語れません、最近ではマーベルシリーズはここでしたね。
よかったらXで教えてくださいね。きっと、同じ映画を同じスクリーンで観た誰かが、あなたの投稿を見つけて懐かしんでくれるはずです。

