知る人ぞ知る!横浜に残る伝統工芸の世界とは?
神奈川県でも鎌倉彫りや箱根の寄木細工などは有名です。
その一方で、横浜に伝統工芸があるのをご存知ですか?
意外と横浜在住者でも知らない横浜の伝統工芸の世界をご紹介します。
知る人ぞ知る!横浜に残る伝統工芸の世界とは?
伝統工芸というと、学校の教科書で習ったりして知るものや、お土産屋さんに売っていて知っているものはありますが、横浜の伝統工芸を見たことがあるでしょうか?
横浜生まれ、横浜育ちの筆者でも伝統工芸があることを知りませんでした。
そんな横浜に残る伝統工芸の世界とは??
横浜眞葛焼
横浜眞葛焼をご存知ない方もいらっしゃるかと思いますが、元々は京都にあった焼き物の技術で、焼き物の技術者であった初代 宮川香山が横浜で窯を作ったところから始まります。
実は初代 宮川香山の作品は海外のコンテストなどに多く出品され、高く評価されていたため、随分海外に作品が出てしまっていたようですが、買い戻すなどしてミュージアムに展示されているそうです。
残念ながら、三代目が第二次世界大戦中に亡くなってしまったことから継承がされず、現在では横浜眞葛焼の新しい作品はできていないとのこと。
そういったものだから、流通はしていないため私たちが手に取ることができないんですね。
せっかくなので、横浜に来られたのでしたら、眞葛ミュージアムで本物をご覧いただき、ポストカードや書籍をお土産にいかがでしょうか?
宮川香山 眞葛ミュージアム
所在地:横浜市神奈川区栄町6-1 ヨコハマポートサイド ロア参番館1F-2
URL:http://kozan-makuzu.com/



横浜芝山漆器
横浜芝山漆器とは、漆器の上に白蝶貝や夜光貝、象牙を象嵌したものをはめ込むことで、細工が浮かび上がるのが特徴。
以前は塗り師、蒔絵師、象嵌師と作業を職人が分担していたそうですが、現在は職人が少なくなってしまったので、一人の職人が受け持っている。
そんなことより、ちょっとお土産に・・・というのも現在では難しくなってしまいました。
1775年頃、上総芝山村(現在の千葉県芝山町)に生まれた大野木専蔵が始めた芝山象嵌を発祥とする。その後、大野木は芝山専蔵と改姓して、江戸に出て芝山象嵌を広げた。幕府直参の武士であった村田鋼平は、幕末の開国を機に横浜からの輸出品として、芝山象嵌を発展させた。外国人貿易商から高い評価を受け、横浜に職人が移住して、分業制による輸出向けの生産が本格化した。 1893年のシカゴ万博において入賞した真珠貝花紋小箱を契機に、横浜の職人は芝山象嵌とはことなる独自の芝山漆器を作り始めるようになる。 明治時代は海外貿易用を中心に盛んに生産が行われ、芝山師と呼ばれる職人も100人程度存在した。関東大震災と第二次世界大戦により芝山漆器は打撃を受けたが、戦後しばらくは在日米軍人の土産物などとして人気があり、「鈴蘭荘」という芝山師集団の共同住宅兼工房で生産が続いた。その後、職人は減少の一途をたどり、芝山師は2012年時点で二人、2017年時点では大型作品も作れるのは1人のみとなっている。
wikipedia より
現在こちらの職人さんが横浜芝山漆器を作っているそうです。
横浜捺染(なっせん)
こちらも横浜で染織の伝統工芸があったのか?と驚く方もいらっしゃると思いますが、「横浜スカーフ」と言ったらどうでしょうか?
横浜が開港して輸出需要が高まり、スカーフなどのシルク製品が横浜で作られるようになりました。
その際、横浜では「大岡川」や「帷子川」の周辺にたくさんの染め物屋さんがたくさん出来たそうです。現在でもシルク製品だけでなく手拭いなどを含め、残っています。
横浜捺染(なっせん)には120年の歴史があり、イタリアのコモ地方と並びその技術は高い評価を得ています。
1859年に横浜港が開港すると、多くの外国商館がこの地に集まりました。
それまで浮世絵や輸出用茶箱ラベル制作をしていた木版技術者たちがこの地に移り住み、横浜の捺染技術は東西の優れた木版技術を取り入れて発展したのです。
日本各地から集まった技術者達が技術を競い合い、海外の知識を吸収しつつ、現代の横浜捺染の技術を確立してゆきました。
シルクの集散地であった横浜は、気象条件、水質資源にも恵まれプリント加工の一大産地となったのです。
そんな時代の中「濱文様」は1948年に捺染工場として創業しました。
横浜の地場産業であるスカーフやハンカチなどを染める独自技術を蓄積する中、海外への輸出も手掛けてきた経験を経て「濱文様」が生まれたのです。
京都などの染め物で、着物を染めて川で流すというのは聞いたことがありますが、私たちの生活圏にある普通の川で染色をしていたというイメーがつきません。(正直、人が入るような綺麗な水が流れる川ではないため)そういうのも時代と共に変わってきて、横浜で捺染がされなくなっていった要因の1つではあるのかもしれません。

どこで横浜捺染の商品が購入できるかというと、下記で購入できます。
濱文様 ウィング上大岡店
所在地:横浜市港南区上大岡西1-6-1 wing上大岡2階
URL:https://www.hamamonyo.jp/shops/kamiooka
横浜シルクミュージアムショップアソシエイション
所在地:横浜市中区山下町1番地 シルクセンター国際貿易観光会館2階 シルク博物館内
URL:https://www.yokohamascarf.com/shop/
横浜家具
上記、横浜眞葛焼・横浜芝山漆器・横浜捺染、それぞれ横浜が開港し貿易が始まったことがきっかけで輸出のため各地の職人が集められ横浜に根付いた伝統工芸です。
横浜家具はちょっと経緯が違うようです。
「横浜家具」とは
幕末開港期から明治初期にかけて、居留外国人たちにより持ち込まれた家具の修理を日本の木工職人たちが請け負ったことに始まり、それ以降、横浜で生産されてきた 西洋風の家具です。
日本の伝統的な木工技術、道具を使って作られています。
現在でもその技術を持って家具を作っている家具職人さんたちがいるそうです。
さすがに「お土産に買って帰る」というわけにはいきませんが、お店を覗いてどんな家具があるのか見学してみてもいいですね。
有限会社蓮華草元町工房
URL:https://www.rengeso.jp/
横浜クラシック家具
URL:https://www.jtco.or.jp/japanese-crafts/?act=detail&id=239&p=3&c=4
協業組合ヨコハマクラシック家具グループ
URL:http://www.classic-kagu.jp/
現在こちらの職人さんが横浜芝山漆器を作っているそうです。
横浜家具というと居留外国人の家具修理が起源ということで、横浜 元町にお店を構える職人さんが多かったようです。横浜 元町は、居留外国人のために仕事をスタートした方々が多かったんですね。
いつか新居をかまえたら、こんな素敵な家具を1つ置いてみると家の雰囲気が変わるかもしれませんね。

横浜に残る伝統工芸の世界はいかがでしたか?
日本の伝統工芸というのは、着物の染色、織物、焼きものの茶碗、木彫りのおぼんなど和風のものを想像しがちですが、横浜の伝統工芸は開港してヨーロッパなどに輸出するためや居留外国人のために作られたものがきっかけで発展した技術だったためどこか「ハイカラ」な西洋風なものも多いですね。
そういう意味では、横浜の伝統工芸も「横浜らしい」のかもしれませんね。
横浜へお越しの際は、横浜の古い建築物と一緒に伝統工芸を楽しんでみてはいかがでしょうか??