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背景にマンション!鎌倉時代のシュールな天空の遺跡金沢区「上行寺東やぐら群」の秘密

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背景にマンション!鎌倉時代のシュールな天空の遺跡 金沢区「上行寺東やぐら群」の秘密

横浜市金沢区に位置する「上行寺東やぐら群」は、住宅街の中の丘陵の上にある小さな遺跡。
そのすぐ裏手には現代のマンションがそびえ立ち、独特でシュールな雰囲気を醸し出しています。
現代の住宅街の中にありながら、鎌倉時代の歴史を今に伝えるこの遺跡は、少し変わった街歩きが好きな方にとっては見逃せないスポットです。
ここでは、上行寺東やぐら群の魅力や歴史背景、発掘の経緯、そしてアクセス方法についてご紹介します。

背景にマンション!鎌倉時代のシュールな天空の遺跡 金沢区「上行寺東やぐら群」の秘密

「上行寺東やぐら群」は、現代の住宅街の中にあるのですが、初めて訪れる人にとっては少し驚きの場所です。
家々が立ち並ぶ住宅街の中にある丘陵、長い階段の途中、遺跡より先に見えてくる現代のマンション。
階段を登って開けた場所に、その遺跡が姿を現します。
舗装されたもののようですが、火星に来たような黄土色の土台とやぐら。
そのすぐ裏手に例のマンション。シュールですね。

鎌倉幕府と金沢の歴史を辿る散策

上行寺東やぐら群が作られた鎌倉時代は、源頼朝が鎌倉幕府を開いた時期にあたります。この時代、鎌倉は日本の政治と文化の中心地となり、当時まだ海だった現在の金沢八景駅周辺は六浦湊と呼ばれた内海でした。現在の平潟湾と繋がっており、それは「鎌倉の外港」でした。

参考:1.1.13_1.1.金沢の旧海岸線を辿る:はじめに

金沢区の隠れた歴史スポット 鎌倉時代の港町「六浦湊」

六浦湊(むつらみなと)は、鎌倉時代に神奈川県横浜市金沢区に存在した重要な外港です。この港は鎌倉幕府の支配下で、貿易や海上交通の要所として栄えました。国内の輸送拠点としてのみならず、中国(宋・元)との貿易の拠点でもあり、商人や渡来人が集まりました。港周辺には倉庫や市場が立ち並んだのかもしれませんね。経済的に重要な地域だったのでしょう。(しかし、時代が進むにつれて埋め立てが進み、現在では、その面影はほとんど残っていません。)

六浦湊からは金銀や刀などが輸出され、中国からは大量の宋銭、仏典や書物、陶磁器が輸入されました

ファミリー版ーよこはまの歴史8

そんな六浦湊を有する金沢は朝夷奈切通(あさいなきりとおし)と呼ばれるショートカットロードで鎌倉と繋がる、物資や人々が行き交う要所でした。

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「上行寺東やぐら群」遺跡は何のために作られた?

六浦湊を見渡せる丘陵の先端に位置しており、その他さまざまな理由から、源頼朝が文治年間(1185-1190年)に六浦山中に創建したと伝えられる浄願寺というお寺の跡なのではないかと考えられているようです。
そのお寺は、後の戦乱で消失してしまい、場所がわからなくなっていたのです。
それでも江戸時代にはその位置が「瀬戸明神と上行寺の間の山の上」と伝承されており、まさに、このやぐら群のある建物跡が、その跡なのではないか?と考えられているようです。

参考:「埋文よこはま26」公益財団法人 横浜市ふるさと歴史財団 埋蔵文化財センター

遺跡は「やぐら群」と「建物跡」です。
建物跡の方は、黄土色に広がる更地で、いくつか柱の跡のようなものが見られます。

やぐらは、岩山を削ったような横穴に五重塔や仏象のレリーフが見られます。
ちなみにこの仏像、上半身はなくなっていますが、阿弥陀如来と言われています。

▲五重塔
▲仏像

また少し離れたところにも2基のやぐらがあり、中を覗くことができます。

「やぐら」と言われる横穴は、主に崖面を彫り込んだもので、中世の埋蔵形態の一つとされ、中世鎌倉の周辺にはかなり分布しているようです。
今の金沢区となっている釜利谷、六浦界隈にも多く存在しているようです。
鎌倉時代、国の要所である六浦湊を見渡せる場所に埋葬されたのはどんな人なのでしょう?

概要 「やぐら」は、鎌倉を中心とした地域に集中的につくられた、中世の武士・僧侶階級の納骨所・供養施設です。 山腹を方形にくりぬき、壁は垂直、床と天井は水平で、床面に納骨穴が掘られ、その上に五輪塔などの供養塔が安置されています。

【市指定史跡】やぐら(水岡やぐら群) | 館山市役所

鎌倉時代の遺産を現代に引き継ぐ発掘の歴史と出土物

上行寺東やぐら群は、1984年(昭和59年)にマンション建設の事前調査で発掘されました。
発掘調査では、やぐら、建物跡の他、骨壺や陶器、仏像などが出土しました。
それで遺跡の裏にマンションがあるわけですね。
建設までには色々とあったかもしれませんが、現代の建物をバックにした遺跡という特異な風景も他ではなかなか見られないとも思います。
また横浜だけではないかもしれませんが「宅地開発のための調査」で遺跡が見つかることは、結構あるようですね。

住宅街の丘陵にある遺跡は長い階段を登った先に広がる絶景

上行寺東やぐら群は、住宅街の丘陵の上に位置しています。
アクセスするには、少し長い階段を登る必要がありますが、その先には素晴らしい景色が広がっています。
遺跡からは、金沢区の街並みから横須賀の方まで見渡せます。
天空の不思議な空間にいるような気分に浸れますよ。

上行寺東やぐら群へのアクセス方法とは?

施設名:上行寺東やぐら群(上行寺東遺跡)
住所: 神奈川県横浜市金沢区六浦2丁目2-12
最寄駅 京急線「金沢八景駅」より徒歩10分

上行寺東やぐら群は、横浜市金沢区に位置し、最寄り駅の京急本線「金沢文庫駅」から徒歩約10分です。駅からは、住宅街を抜けて丘陵地へ向かう道を進みます。静かな住宅街の中に隠れた歴史を発見する楽しみがあります。

静かな住宅街で歴史探訪 上行寺東やぐら群の魅力を再発見

上行寺東やぐら群は、30メートルほどの丘陵の上にある遺跡です。
規模は小さく、5分もあれば一通りまわれてしまうほどです。
それでも住宅地の中の小さな山を登る階段、マンションをバックに佇む遺跡の姿、丘から見る景色の良さなどがあり、とても面白いのです。
きっと鎌倉時代の金沢区の地形や歴史なんかもわかっていると、さらに面白味が湧くかもしれませんが、そうでなくても不思議な場所が好きな方ならきっと気になるはず。
横浜で少し変わった場所を探していて、歴史に興味がある方に、上行寺東やぐら群はぜひ訪れてほしいスポットです。

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横浜は生活圏内。好きなものはお酒とおつまみ、おせんべい、謎なもの、動物。