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横浜ハイキングコース 鎌倉幕府ゆかりの古道「塩の道」を散策 金沢八景駅~朝夷奈切通~鎌倉駅

朝夷奈切通 town
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横浜ハイキングコース 鎌倉幕府ゆかりの古道「塩の道」を散策 金沢八景駅~朝夷奈切通~鎌倉駅
横浜にも秘境のようなハイキングコースがあります。
街の喧騒を離れて自然の中に身を置いてみてはいかがでしょうか?
さらに歴史も感じられる古道であれば、雰囲気もあって素敵だと思いませんか?

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横浜ハイキングコース 鎌倉幕府ゆかりの古道「塩の道」を散策 金沢八景駅~朝夷奈切通~鎌倉駅

「塩の道」ってなに?

「塩の道」とは、古代、海と内陸の山地をつなぐために使われた道のこと。
主に塩や海産物を内陸の主要都市に運ぶため、日本各地に作られた道です。
実は、横浜にも「塩の道」があるのをご存知でしょうか?

横浜の「塩の道」

それは鎌倉時代、横浜・六浦(金沢区)の海と、当時の首都鎌倉をつなぐ道でした。
現在はすっかり埋め立てられていますが、平潟湾は今よりもずっと内部まで入り込んでおり、六浦湊(むつうらみなと)と呼ばれていました。
その六浦湊には、外国(宋)からの物資、国内(房総半島など)からの物資が入ったようです。
にぎやかだったことでしょう。
そして海産物はもちろん、なんと塩が作られていたそうです。
横浜の「塩の道」は、横浜・六浦(金沢区)から塩だけでなく様々な物資や人が行きかった超重要な幹線道路だったのですね。
下の画像の赤い線が当時の塩の道となります。

金沢埋め立て
▲薄い青色部分が全て海だった

塩を作っていたなんて、そもそもどうやって作っていたのでしょう?
それはまた別の機会に深堀してみようと思いますが、かつて六浦界隈は海であり、鎌倉の外港として栄えました。そこから鎌倉へ物資を送ったわけです。
現在は広く埋め立てられ、海であったとは思えませんが、かつての海岸線に思いをはせて歩くのはとても楽しいですよ。

朝夷奈切通を通る

今回通る「塩の道」には朝夷奈切通を含みます。

鎌倉七口

鎌倉は周囲を山で囲まれた自然の要塞だと言われますが、外部との流通のための「道」はありました。「鎌倉七口」と言われる七つの道です。
そのうちの1つが、この朝夷奈切通です。
物資を運ぶために馬が通れる道を作るため、山を削って、切通を作ったのです。すごいですね。
ちなみに朝夷奈切通の長さは約1.8Kmです。

実際に歩いたらどのくらいかかる?

Googleマップによると、約3時間弱ほどかかるようです。
私は途中で色々寄り道をしたため、4時間半ほどかかりました。

塩の道

朝比奈切通(朝夷奈切通)のみのコースなら、1時間ほどです。
あまり急な坂はありませんが、湧き水で滑りやすくなっていました。
そのため、歩きやすいスニーカーで行くのが良いと思います。
参考:鎌倉ガイド|朝比奈切通しハイキングコース | YAMA HACK[ヤマハック]
*「朝夷奈切通」という表記がされる場合がされますが、ここでは「朝比奈切通」という表記に統一します

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塩の道を歩いてみた

そもそも塩って、どうやって作ってたのだろう…という謎はありますが。
ここでは金沢八景駅から、当時の六浦湊と鎌倉を結ぶ古道「塩の道」を歩いた様子をご紹介します。
塩の話や、ルートについては、こちらのサイトで紹介されています。

金沢の塩の話

金沢の平潟湾沿岸では、鎌倉時代から明治時代にかけて製塩が行われ、この地域の重要な産業となっていました。中世には金沢から鎌倉へ朝比奈の切通しを通って盛んに塩が運ばれ、この道筋が塩の道と呼ばれていました。六浦には今でも塩場と呼ばれる場所が残っています。

引用:塩の道(横浜金澤散策コース)|横浜市金沢区 横浜金沢観光協会

私も今回、こちらの地図とGoogleマップで歩きました。

金沢八景駅~朝比奈切通入口

金沢八景駅

金沢八景の駅を降りて、スタート。

金沢八景道

鎌倉方向へ歩きます。

六浦
六浦

「六浦(むつうら)」の信号です。
湊(みなと)があった「六浦(むつうら)」。
埋め立て前の海岸線を見ると、この道の左側と、この先が海だったことになります。
現在はどこまでも住宅が並びます。

金沢埋め立て
▲六浦信号前は海だった

やぐらのある寺 上行寺

上行寺

六浦の信号を右折したら、あとはひたすらまっすぐに進みます。
途中、神社仏閣がとにかくたくさん出てきます。
こちらの上行寺も登場しますが、このお寺の奥の山には、鎌倉時代のものとみられる「やぐら」と遺跡があります。

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塩の道

このままずっとまっすぐに進むのですが、進行方向左手側は、かつて海岸側。
海が眺められたかもしれません。

鼻欠け地蔵

塩の道

大分歩いたところに護岸されていないむき出しの地層と案内板がありました。いつだれが掘ったか不明ですが、江戸時代に出版された『江戸名所図会』に紹介されているそうです。
風化して鼻がかけてしまい「鼻欠地蔵(はなかけじぞう)」と呼ばれていたそうです。今や鼻どころの欠け具合ではありませんが、多くの人がここで旅の無事を祈っていったことでしょう。

摩崖仏
塩の道
塩の道

さて、この辺りから大分山が近くなってきました。
ハイキングチックな様相の人も現れ始めます。

朝夷奈切通

「朝比奈切通」の看板発見。
金沢八景からここまではバスが出ているので、朝比奈切通だけハイキングする場合は、ここまでバスでショートカットしましょう。
いよいよ切通に入ります!

朝比奈切通~鎌倉

朝夷奈切通
▲入り口には大きなご神木
朝夷奈切通
朝夷奈切通

いざ鎌倉!切通がある山道に入ると、まずは色んなお地蔵さんがたくさん。

朝夷奈切通

なんと、突然道路の下を通ります。
現代道路と古の道が交差する不思議な光景ですね。

朝夷奈切通
朝夷奈切通

なかなかの見ごたえです。
この道は鎌倉時代に作られて、塩や魚など国内国外の物資が人が流通した幹線道路です。
感慨深いですね!

朝夷奈切通
朝夷奈切通

ところどころに「やぐら」のようなものが見えました。
侵入する敵に備えるためのものだったのでしょうか?
色々想像してしまいますね。

朝夷奈切通

途中、分かれ道があります。
左に行くと「熊野神社」があるそうです。

熊野神社へ寄り道

朝夷奈切通

熊野神社は、鎌倉の鬼門に位置し、そこを守るために建てられたと言われています。

参考:朝夷奈切通 – Wikipedia

途中、道なき道のようなところを通過。
すると、杉木立の間から本堂の屋根と立派な鳥居が現れました。

朝夷奈切通
朝夷奈切通
朝夷奈切通

本堂からの眺めですが、すごい杉林です。
痒くなる方もいるかもしれませんが、とても美しい眺めでした。
再度道なき道を、元来た方へ戻ります。

朝夷奈切通

そして、まだまだ切通は続きます。

鎌倉市に入る

朝夷奈切通

「横濱市」とかかれた石杭がありました。横浜市はここまで。
この先はもう鎌倉市となり、市境に来たようです。
なにやら掘られていました。
トレイルランニングと思われるグループが複数名で来られていました。

朝夷奈切通
朝夷奈切通

市境の辺りから湧水なのか、地面に水が流れるようになりました。
足元に注意しながら進むのですが、この湧水の流れる音もまた清々しくて心地良いです。

朝夷奈切通
朝夷奈切通
朝夷奈切通

鎌倉側の出口はもうすぐです。
途中で出会った方が教えてくれたのですが、この辺りは大きなモミジの木が並んでいました。
紅葉シーズンはかなり見ごたえがあるそうですよ!

大刀洗の水

朝夷奈切通

先ほどから流れている湧水は、側溝で川のようになっていました。
実はこの湧水は鎌倉五名水と言われる良水の一つであり、質が良く美味しいとされたそうです。
鎌倉時代に起こったある暗殺事件で、暗殺者がその刀の血をここで洗い流したことから「大刀洗水(たちあらいみず)」と名づけられています。
NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」を観ていた方ならわかるかもしれません。
ちなみに、その事件で暗殺されてしまった方のお墓が切通の横浜側入り口近くにあります。

朝夷奈切通
▲暗殺された上総介広常(かずさのすけひろつね)のお墓

鎌倉殿の13人と二俣川 – 横浜で暮らそう

鎌倉殿の13人と二俣川
鎌倉殿の13人と二俣川 2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」。二俣川では武将「畠山重忠」を知れます。

そして、さらに進んで行くと滝が見えてきました。
この切通を一夜にして切り開いたとされる朝比奈三郎義秀にちなんで「三郎の滝」と呼ばれているそう。

朝夷奈切通
朝夷奈切通

朝比奈切通はここまで。
あとは車も通るアスファルトの道。鎌倉駅方面のバスも出ているので、乗っていくも良し。
歩く場合は、小一時間ほどでオシャレなカフェが現れはじめ、大きな赤い鳥居。
右には鶴岡八幡宮の参道、左は鎌倉駅前のお土産通りです。

塩の道

横浜で、秋の古道を歩いてみませんか?

横浜は開国時の情緒がありますよね。
でもそれよりもずっと以前、鎌倉時代の文化や足跡をたくさん見られる場所もあります。
素晴らしい古道を歩いた後に味わう鎌倉グルメは、きっと格別な事でしょう!
週末のお出かけに古代の商人になったつもりで古道を歩き、お隣の古都へ訪れてみませんか?