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横浜港に完成予定の「新本牧ふ頭」ってなに?

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横浜港に完成予定の「新本牧ふ頭」ってなに?
横浜港を行き交う物流として、コンテナ船の出入港を支えているのが「埠頭」。
そんな横浜港に最新の物流ふ頭を目指して2020年から整備を着工した埠頭があります。
ここでは、2028年完成予定の「新本牧ふ頭」を紹介するコンテンツです。

横浜港に完成予定の「新本牧ふ頭」ってなに?

横浜18区のなかでも海側に位置し、観光と行政の中心エリアとなっている「中区」。
現在、市内に全部で9つある埠頭のうち、中区にあるのは以下の4つです。

  1. 本牧ふ頭
  2. 南本牧ふ頭
  3. 山下ふ頭
  4. 新港ふ頭

特に、敷地面積の広いふ頭は「本牧ふ頭」と「南本牧ふ頭」の2つになっています。
そして、ここから更に沖方面へ行った場所で新たな埠頭が完成するのをご存知でしょうか?
それが、2020年着工/2028年完成予定の「新本牧ふ頭」です。
「新本牧ふ頭ってなに?」「どこでどんな整備事業を行っている?」「いつ完成するの?」
今回は、横浜市中区で整備事業が進む「新本牧ふ頭」についてお伝えします。

横浜市中区ってどんなところ? – 横浜で暮らそう

新本牧ふ頭ってどんなところ?

横浜市は京浜工業地帯に囲まれているため、毎日多くの物流が国内外から運ばれてきます。
そのため、横浜港では多くの国際大型コンテナ船が行き交うことも日常茶飯事なのです。
近年では輸送能力向上や効率化のため、貨物量増加やコンテナ船大型化が進んでいます。
そこで、これら世界規模のコンテナ船へ対応するために作られるのが新本牧ふ頭なのです。

新本牧ふ頭は、中区にある「本牧ふ頭」沖合に2028年完成予定の埠頭です。
具体的な場所は、大黒ふ頭と南本牧ふ頭に挟まれ、本牧ふ頭に続くように建設されます。

新本牧ふ頭は、国際コンテナ戦略港湾としての横浜港の将来を見据え、コンテナ船の大型化や貨物量の増加に対応するため、大水深・高規格コンテナターミナルと、高度な流通加工機能を有するロジスティクス施設を一体的に配置した最新鋭の物流拠点を形成するものです。併せて、公共事業等から発生する建設発生土を受け入れる役割も担っています。

新本牧ふ頭 – 横浜市
「整備概要」 新本牧ふ頭 – 横浜市

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新本牧ふ頭の役割

新本牧ふ頭は、将来を見据え「最新鋭の物流ふ頭」になっていくことを目指しています。
今より進化した埠頭になることを名前の「新」が付くことからも感じられますね。
そもそも、新本牧ふ頭が掲げる「最新鋭の物流ふ頭」はどういった埠頭なのでしょうか?
現在、世界最大と言われているコンテナ船は全長400mにもなるのです。
横浜ランドマークタワーとコンテナ船の長さを比べても、とても大きいことが分かります。
また、倉庫の管理もシステム化されて「どこに何があるのか」がひと目で分かるのです。
そのうち、倉庫が完全無人化となってロボットがそれぞれ運搬できる日が来るでしょう。
将来的には今後もさらに大きくなり、コンテナ船の大型化が進んでいく見込みです。

横浜スカイウォーク「最新鋭の物流ふ頭ってなに?」展示写真 より

新本牧ふ頭はこれに対応するため、延長1,000m水深18m以上のターミナルとします。
この大きさは、日本最大のコンテナクレーンを備えた大水深で高規格な埠頭です。
既存する埠頭はこのまま残しつつ、新たな埠頭が完成するということになります。
これによって「組み立てたまま短い輸送距離で温度管理も万全に輸出」が可能となるのです。

横浜スカイウォーク「最新鋭の物流ふ頭ってなに?」展示写真 より

整備事業「新本牧ふ頭ができるまで」

新本牧ふ頭の整備事業は、第1期地区/第2期地区というように2つに分けて行われます。
ロジスティクス拠点となり、約38haを占める第1期地区は、横浜市が整備する予定です。
高度な流通加工機能を有するロジスティクス施設を誘致する計画となっています。
大水深で高規格のコンテナターミナルとなる第2期地区の約50haは、国交省の整備です。
海上というアバウトで大規模な工事は、別々に整備が行われることも珍しくありません。

横浜スカイウォーク「新本牧ふ頭」完成イメージ模型

第1期地区が2019年、第2期地区が2028年の完成を予定しています。
第1期地区/第2期地区ともに、一斉スタートで2020年1月から工事が着手していました。

地区土地利用施工主体面積事業期間
第1期地区ロジスティクス用地 など横浜市約38ha2019年(令和元年)~2019年(令和元年後半)
第2期地区コンテナターミナル用地
岸壁:水深18m
延長:1,000m
国 など約50ha2019年(令和元年)~2028年(令和10年代前半)

そのため、第1期地区よりも第2期地区の方が大規模で時間の掛かることが分かります。
しかし、私たちは新本牧ふ頭がどのような埠頭になるか完成するまでイメージできません。
そのため、完成イメージや工事内容の具体的な情報があると分かりやすいですよね。
ここからは、実際にどのような工事で整備事業が進められているのか詳しくご紹介します。

「完成イメージ図」 新本牧ふ頭 – 横浜市

海底を掘削する埋立工事と技術について

埋立工事は一般的な道路の工事と違って、まず最初に海底の地盤を強める必要があります。
そこで、もっとも重要となるのが「地盤改良工事」を行い、護岸を備え付けることです。
護岸は、埋立地から土砂が流出するのを防止し、海の高波からも守ります。
ちなみに「護岸」と言っても、水深や埋立材料などによって異なるのをご存知でしょうか?
いくつか種類のある護岸も、その場所にあったものが採用されるのです。
新本牧ふ頭では「ケーソン」と呼ばれる護岸が用いられていました。
これは4階建てビル相当で、巨大な鉄筋コンクリート製の壁のような見た目となります。
よく見ると、人が写っている写真からもどのくらい護岸が大きいのか分かりますね。
大きな工事内容は、写真の通り「地盤改良工/基礎工/本体工/埋立工」の4工程です。
3番目の「本体工」で護岸が設置された後、本格的な「埋立工」が行われます。

横浜スカイウォーク「埋立の技術ってなに?」展示写真 より

そんな埋立も、下の6つある大型クレーン船で吊り上げながら、行われるのです。
工程ごとでそれぞれ異なる作業をクレーンで使い分けます。
その大きさからも分かるように、操縦には高度な技術が必要となってくるのです。

  1. 砂の杭をつくる「サンドコンパクション船」
  2. 地盤を固める「深層混合処理船」
  3. 海底を掘る「グラブ浚渫船」
  4. 土台をつくる「捨石均し船」
  5. 釣って運ぶ「起重機船」
  6. 埋め立てる「リクレーマー船」

海底という大規模で大水深の工事を支えるのが、この大型コンテナ船です。
すべての大型クレーン船に名前が付いており、よく見ると姿も違っています。
例えば、砂の杭をつくる「サンドコンパクション船」です。
3本のパイプで海底の柔らかい地盤に穴を開け、空気の圧力や振動で砂を押し込みます。
押し込めたら、水はけが良い砂の柱「砂杭」を作り、軟弱地盤に打ち込むのです。
海底の土の中にある水がこの砂杭に吸い出されることで、丈夫な地盤が完成します。
地球環境としても問題視されている「海面上昇」。
近年、この問題で水面下70cmの深さにも対応できる船も作られているのです。

そして、埋め立てる「リクレーマー船」。
船で運ばれてきた土砂を船上のショベルカーですくい取ります。
ベルトコンベアに積み替えて埋立地へ投入することで、水深が浅くなるのです。
土砂を運搬する船が埋立地内へ入れなくなるため、リクレーマー船が活躍します。
この作業においては、リクレーマー船が埋立工事に必要不可欠なのが分かりますね。
国内最大級のリクレーマー船となれば、ベルトコンベアの輸送距離が60mとなるのです。
このように、全く異なる用途で1つの作業に特化したクレーン船となっていました。

埋立にはリニア中央新幹線が関係している!?

新本牧ふ頭の埋立には、リニア中央新幹線横浜市内建設工事で発生した土砂が使われています

リニア中央新幹線とは?
リニア中央新幹線とは、全国新幹線鉄道整備法(以下「全幹法」)の基本計画路線に位置付けられている「中央新幹線」を、時速500kmで走行する 超電導リニアモーターカー

リニア中央新幹線について – 山梨県立リニア見学センター

推進の原理
車両の超電導磁石はN極、S極が交互に配置され、地上の推進コイルに電流を流すことにより発生する磁界(N極・S極)との間で、N極とS極の効き合う力とN極どうし・S極どうしの反発する力により車両が前進します。

リニアの仕組み – 山梨県立リニア見学センター

このような仕組みから、リニアモーターで超高速走行が可能となる「リニア中央新幹線」。
これが実現できると、品川〜名古屋間を最速40分、品川〜大阪間を最速67分で結びます。
リニア中央新幹線によって、日本の経済やライフスタイルなどが大きく変化するでしょう。
将来的に日本の大動脈となり、社会全体への幅広い波及効果が期待されている乗り物です。
そんなリニア中央新幹線のトンネル掘削工事で出た土砂を活用し、整備を促進します。
また、横浜港の将来を担う新本牧ふ頭整備事業において横浜市の財政負担も軽減します。
エコでコスト削減が可能となる画期的な取り組みなのです。

横浜スカイウォーク「新本牧ふ頭とリニア中央新幹線」展示写真 より

環境に配慮した「生物共生型護岸」

新本牧ふ頭は海の中で工事を行うため、海洋生物や環境に配慮した取組を行っています。
それが、壁面に当たる波が穏やかになるよう細かい隙間を入れた「生物共生型護岸」です。

この護岸には、実際に5つの特徴が挙げられていました。

  1. 護岸マウンド水深の嵩上げ(貧酸素帯の回避)
  2. 階段状スリットによる多様な生物生息場の形成
  3. 護岸内部に自然石を設置し、岩礁性藻場を形成
  4. 環境に配慮したブロックの配置
  5. 水際線緑地の創造・市民への開放
「環境への取り組み」 新本牧ふ頭 – 横浜市

上部には日光が差し込み、内部には海藻や生物が生息できる自然石を敷き詰めます。
自然の岩礁を再現することで海藻類が繫茂し、稚魚の成育や産卵場となるのです。
実際に、生物共生型護岸の完成模型とそこに生息する生き物が展示されていました。
アジ クロダイ ナマコ カサゴ スズキ マダコ など…

「生物共生型護岸」完成模型

護岸の上には、人が行き交う広場や海釣りができる緑地を設けます。
取組を通して、多くの方が海に親しみを持って憩いの場所となるよう、採用されました。
そして、豊かな海づくりは脱炭素社会「ブルーカーボン」実現にも貢献しているのです。
今後、横浜港と海洋生物が何十年も共生する中で重要となる「海洋環境」。
その一環として、新本牧ふ頭は地球環境全体にも目を向けた取組を行っています。
私たちを含め、後世に続く海がどうなっているのか、これからの横浜港が楽しみですね。

横浜スカイウォーク「埋立と環境」展示写真 より

進化し続ける横浜港

水と緑と歴史に囲まれた港町・横浜は、物流の中核を担ってきました。
横浜は開港以来、ウォーターフロントとしてこれまで多くの再開発が行われてきたのです。
特に一大プロジェクトとなっているのが「みなとみらい21プロジェクト」。
ランドマークタワー 横浜赤レンガ倉庫 パシフィコ横浜 ハンマーヘッド など…
水に触れ親しみを持つ「親水空間」や歴史的資産を活かした街づくりが進められています。

他にも、移動手段として出ているさまざまな交通の便も発達していました。
海の上を走る「シーバス」や空を通る日本初の「都市型ロープウェイ」も見どころです。
そして、物流として横浜港を支えてきた「クルーズポート」でもあります。
1年を通してさまざまなイベントが開催され、進化し続けているのが「横浜港」。
新本牧ふ頭とも海でつながる横浜港が、これからどのように進化していくのか注目ですね。

なぜ 横浜は港町と呼ばれるのか – 横浜で暮らそう

整備内容は横浜ベイブリッジスカイウォークで知ろう!

ここまで、工事内容や完成イメージについて詳しくお伝えしました。
実は、これらの情報を私たちが直接知れる施設があるのをご存知でしょうか?
「横浜ベイブリッジ」は、大黒ふ頭と本牧ふ頭を結ぶ橋となっています。
そして、橋の下には横浜港を行き交う船を間近で見られるスポットがあるのです。
それが、鶴見区大黒ふ頭1丁目にある客船見学施設「横浜ベイブリッジスカイウォーク」。

スカイウォークは、横浜市政100周年記念施設として1989年9月に開通しました。
同年、有料自動車専用道路を併設した日本初の歩行者専用道路としてオープン。
2010年に終了しましたが、9年の時を経て2019年に「客船見学施設」として再開します。
このときは、大黒ふ頭側となる外港のスカイプロムナードが開放されていました。
しかし、コロナ禍などの影響を受け、すぐに再度一時休止となってしまったのです。
その後、2022年6月に展示や開放エリアが追加されてリニューアルオープンしました。

ここでの1番の魅力は、3エリアから構成された施設内を入場無料で楽しめることです。

  • 高さ約60mの「スカイタワー」
  • 片道320mの遊歩道「スカイプロムナード」
  • 展示や休憩スペースもある「スカイラウンジ」

ここは、横浜ベイブリッジの下層部にある展望施設のため、眺めは迫力満点です。
普段は見られない港湾物流の様子や、横浜港やみなとみらいの街並みも一望できます。
運が良ければ、客船として寄港するクルーズ船の停泊姿を見られることも。
景色をゆっくり一望できる場所はほとんどないため、貴重な施設ですね。
いつもとは違った上から見える景色は、新しい発見があるかもしれません。

「新本牧ふ頭」の展示は、イスやテーブルが設置された「スカイラウンジ」にあります。
スカイラウンジでは、本牧ふ頭の役割/工事の技術/環境への取組が展示されていました。
写真と模型で分かりやすく解説されているほか、音声と映像の紹介動画も流れています。
また、新本牧ふ頭のライブカメラも映し出され、工事をリアルタイムで確認できるのです。
気になる方は、ぜひ横浜ベイブリッジスカイウォークへ足を運んでみてください。

海の上を歩く 横浜ベイブリッジスカイウォーク – 横浜で暮らそう

最新鋭の物流ふ頭「新本牧ふ頭」を目指して

最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで、横浜市中区に2028年完成予定の「新本牧ふ頭」の見どころをお伝えしました。
少しでも参考になれば幸いです。
近年は、輸送能力向上や効率化のため、貨物量増加やコンテナ船大型化が進んでいます。
横浜港は、世界の玄関口として約50都市の物流が絶えず輸出入されているのです。
そんな多くの物流が動き、大小さまざまな埠頭のある中で誕生するのが「新本牧ふ頭」。
新本牧ふ頭は、将来を見据えてロジスティクス施設とコンテナターミナルを備えます。
また、新本牧ふ頭が憩いの場所となるよう、豊かな海づくりにも取り組んでいました。
そんな「最新鋭の物流ふ頭」を目指す新本牧ふ頭も、今から完成が楽しみですね。
一足早く新本牧ふ頭を知れる横浜ベイブリッジスカイウォークへ足を運んでみませんか。

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