横浜と聞いて思い浮かべるお酒といえば、まず「クラフトビール」では?しかし、港町・横浜には、地域の農産物や独自の歴史、そして熱い想いから生まれた、個性豊かなアルコール飲料が数多く存在します。
この記事では、クラフトビールとはまた違った、知る人ぞ知る「横浜のお酒」のラインナップご紹介。日本酒、ワイン、ジン、そして驚きのメロンサワーまで、その魅力と誕生のストーリーについて触れています。
【クラフトビールだけじゃない!】奥深い「横浜産」のお酒:日本酒、ワイン、ジン、サワーの新たな挑戦
地域の情熱と農地保全が結実!横浜生まれの日本酒「天青 横濱魂(てんせい よこはまだましい)」
「横浜」と「日本酒」という組み合わせに、意外性を感じる方も多いかもしれません。しかし、横浜市も立派な農業地帯であり、その貴重な農地を守る取り組みから、渾身の地酒が誕生しました。
横浜産酒米100%の奇跡
その名も『天青 横濱魂(てんせい よこはまだましい)』。
この日本酒の最大のポイントは、使用されている酒米が横浜市戸塚区東俣野町の水田で栽培された「五百万石」を100%使用している点です。
横浜市内には、都市化の波にのまれながらも、美しい農景観を維持している貴重な水田が残されています。しかし、後継者不足などにより、その保全は喫緊の課題となっていました。
この課題を解決するため、横浜市と地元の農家、そして茅ヶ崎市にある酒蔵・熊澤酒造株式会社が連携。横浜市が農地保全のために酒米作りを検討していたところ、既に熊澤酒造が同様に地元酒米100%でお酒を造るというプロジェクトを始めていたようで、参加したい農家さんと酒造との橋渡しを横浜市が行ったそうです。それぞれの思いがとてもすてきだと思います。
酒米プロジェクト アーカイブ – 熊澤酒造株式会社
爽やかで力強い「横浜の魂」
『天青 横濱魂』は、純米酒(精米歩合60%)として仕上げられています。
新酒らしい爽やかな印象と、酒米「五百万石」の持つ米の味わいがはっきりと感じられる、食中酒にぴったりな一本です。横浜の土地の恵みを凝縮した、まさに「横浜の魂」を感じる力強い味わいとなっています。
このお酒を購入し消費することは、そのまま横浜の米づくり、そして水田の保全を応援することに繋がります。限定販売のため、見かけたらぜひ手に取って、横浜の新しい文化の味を楽しんでみてください。

- キーワード: #横浜の地酒 #横浜産酒米 #地産地消 #水田保全
- 主な銘柄: 天青 横濱魂(てんせい よこはまだましい)
都市にあるワイナリー「横濱ワイナリー」の「ハマワイン」
横浜港を臨む場所に、日本で最も海に近い、そして最も小さなクラフトワイン醸造所があるのをご存知でしょうか。それが「横濱ワイナリー」です。
YOKOHAMA WINERYは横濱・山下埠頭の袂にある都市型のワイナリーです。
大切に育てられた日本のブドウだけを丁寧に醸し作られた自然派ワイン“hama wine(ハマワイン)”は、
フレッシュでフルーティ、やさしい飲み心地。
自然酵母発酵、フィルター不使用、補糖や酸化防止剤も極力抑えながら、
身体へのやさしさにも寄り添ったワインです。
環境や自然を尊重するワイン作りをしています。
日本ワイン横濱ワイナリー | 日本で一番小さなワイナリーの通販サイト
オーナーの思いは「食のものづくりを体験する場」
ワイナリーとは、ワインの醸造(製造)を行う場所や事業のこと。ぶどうの栽培から醸造、瓶詰めまでを一貫して行う場合もあれば、ぶどうを購入して醸造のみや醸造以降の過程を行う場合もあるそうです。この「横濱ワイナリー」は後者になりますが、それでも都市部にあるってすごくないですか?
私は一時期山梨県に住んでいたことがありますが、ワイナリーというのは、そういうところにあるものかと思って、改めて「ワイナリーとは?」とググってしまいました。
こちらのオーナー、食糧問題関連の活動家の方で、独学でワイン造りを習得して免許を取得してワイナリーを営んでいるようです。都市部にあるというのは、ある意味消費者に近い感じがします。
そしてワイナリーを横浜に作ろうと思ったのは「食のものづくりを体験する場を作りたかったから」だとか。
ブドウ畑は自営でなくても、どんな育てられ方をしたぶどうか、を見て感じて納得して、こだわって契約した農家さんから購入しているようです。ワイナリーらしく試飲もできるそうなので、オーナーのお話を聞きながら、ブドウと大地と人の恵みを感じに行ってみるのはいかがでしょうか。きっと素敵な時間になる事でしょう。
オーナー制度で遂に実現した「オール横浜」のブドウで造るワイン
さらに横濱ワイナリーは、2020年から横浜市旭区に自社ワイン用ぶどう農園『横濱ヴィンヤード』を開設されているようです!ズンズンと「食のものづくりを体験する場作り」を実現していてすごいです。そして原料も含めて「横浜産ワイン」も実現されちゃいますね。
『横濱ヴィンヤード』はオーナー制で運営されているようです。
1年に3万円の会費を支払う事で、オーナーとなり、ブドウ苗のメンテナンスや栽培勉強会に参加できるだけでなく、農園での星空ウォッチ(!!)、焚火(!)、もちろん(?)作業後ワイン会(♪)など様々なアクティビティが行われていて、そちらへも参加できるようです。他にもワイン関係のイベントへの優待特典を得ることができます。すごく充実してます。
畑などの農作物のオーナー制度…なんだか都会的。そして興味深いですね、こういった優待なら私も何かやってみたくなります。
- キーワード: #ハマワイン #クラフトワイン #横濱ワイナリー #海に近い醸造所 #横浜ワイン
- 主な銘柄: ハマワイン(各種)
若手農家と蔵元のタッグ!幻のサツマイモから生まれた「横浜焼酎」
焼酎といえば九州のイメージが強いですが、ここ横浜にも、地域農業の情熱から生まれた芋焼酎があります。
地元農家が繋いできたサツマイモを使用
横浜市旭区には、代々農業を営んできた農家の方々がいます。彼らが大切に育て、種芋を繋いできたサツマイモ(紅はるか、山川紫、黄金金時など)を原料にしたのが、芋焼酎『一里山(いちりやま)』や『みんなの氣力(きぢから)』です。
企画したのは、実家が農家であるIT会社の社長さん。時と共に使われずに荒廃していく農地、何かできないか?焼酎でも作るか・・・となったそうです。こちらも凄い。
鹿児島の名門蔵元との連携と無濾過のこだわり
製造は、焼酎の名産地である鹿児島県の錦灘酒造に委託されています。
この焼酎の大きな特徴は、芋の旨味を最大限に活かす「無濾過(むろか)」製法を採用している点です。通常の焼酎は、品質を安定させるために濾過(フィルターで不純物を取り除く)を行いますが、横浜焼酎はあえてこの工程をしないことで、その年ごとに他にはない味わいを楽しめるそう。
- キーワード: #横浜焼酎 #旭区産サツマイモ #無濾過 #錦灘酒造
- 主な銘柄: 一里山、みんなの氣力
産学連携と地域愛が詰まった異色作!「やるJAん横浜! メロンサワー」
そして、記事のラインナップの中でも特に異色を放つのが『やるJAん横浜! メロンサワー』。商品企画から原料の生産、パッケージデザインまで横浜市内の企業・団体・学校がタッグを組んだ“オール横浜”の商品!

休耕地活用から生まれた「オール横浜」サワー
この商品は、JA横浜が中心となり、横浜市内の休耕地を活用して栽培したメロン(ムーンライトという品種)を原料にしています。
さらに、缶のデザインは横浜美術大学の学生が考案。原料の生産から商品企画、パッケージデザインまで、すべて横浜市内の企業・団体・学校がタッグを組んだ、正真正銘の“オール横浜”の商品です。
メロンの中に横浜の街があったり、横浜の街にメロンたちが点在してたりするとってもかわいくて不思議なデザイン、感性が刺激されます。
単なる流行のサワーというだけでなく、休耕地の活用や産学連携というSDGsに通じる社会的なテーマも内包しており、横浜の地域課題解決の一端を担う商品となっています。
原料のメロン栽培には、市内の休耕地を活用、「加工品用の作付け」という事で、農地保全や食品ロス削減にも貢献してしまう!発想の転換ですね。
生の果実に近い豊かな香りが魅力
アルコール分5%のリキュール(発泡性)として、生の果実に近いマスクメロンのような豊かで上品な香りが特徴。甘すぎず、さっぱりとした味わいで、20~40代の女性をメインターゲットに、横浜産農産物の新たな魅力を発信しています。
「やるJAん横浜!」というユニークなネーミングと、おしゃれでかわいいパッケージも相まって、お土産としても、自宅で楽しむ一杯としても!
- キーワード: #メロンサワー #JA横浜 #産学連携 #休耕地活用 #オール横浜
- 主な銘柄: やるJAん横浜! メロンサワー
横浜ベイサイドの香り!新しいムーブメント「クラフトジン」
クラフトビールで名を馳せたメーカーが、その技術を活かして次に目を向けたのが「ジン」です。
蒸溜所併設のバーから生まれる創造的なジン
日ノ出町の高架下にオープンしたのが『横浜ジン蒸溜所』です。クラフトビールメーカーの横浜ベイブルーイングが運営しており、蒸溜所併設のバーで出来立てのジンを楽しめます。
横浜を香りで表現
『クラフト人』…ではなく『クラフトジン』は、クラフトビール同様、「小規模な蒸留所が作っているジン」で、大企業が大量生産する商品づくりとは異なり、作り手が材料にも製造にもこだわりめいっぱいで挑んでいることが多くなるかと思います。だから面白い味が出てくるのです。個人的にはどんな分野でも『クラフトマン』という生き方は応援したくなっちゃいます。
さて、クラフトジンでよく注目されるのが、『ボタニカル』と言われる「香りの原料」。何を使うかでフレーバーが異なるわけで、クラフトビール同様、クラフト〇〇の世界をとって豊かにする重要なこだわりどころとなるようです。
『横浜ジン蒸溜所』では様々なボタニカルマッチングで、様々な作品を作られているようです。紹介したいのですが、公式では商品紹介のようなものが見当たらず。…卸先の酒屋様サイトからのご紹介とさせていただきました。どれも興味深く、試してみたくなるものばかり。
例えば、ある銘柄では、日本初の珈琲店が横浜にオープンしたという歴史にちなみ、コーヒー豆をボタニカルに使用。
足柄地域のヒノキや足柄茶をボタニカルに…
コーラの原料「コーラナッツ」…いち早く外国文化が入った横浜だから?
いろいろ…
蒸溜所にも是非行ってみたいです。
- キーワード: #クラフトジン #横浜ジン蒸溜所 #ボタニカル #ジンソーダ
- 主な銘柄: YOKOHAMA CRAFT GIN(各種)、NUMBER EIGHT GINなど
横浜のお酒は「ストーリー」が美味い
いかがでしたでしょうか。
私は単にお酒が好きなので、横浜産のお酒という事で調べてみました。それは単に「地元で造っている」というだけでなく、農地の保全、サステナビリティ、食の在り方、産学連携、歴史へのリスペクトなど、それぞれの背景に熱いストーリーと地域愛が詰まっています。そして新しい考え方も取り寄せながら都市型で現代的な形で進化しているように見えます。もちろん遊び心も見えてとっても面白い!
これからも楽しみながら、横浜のお酒を応援しようと思います。お酒好きな皆様の目にはどう映りましたか?







