地元民が語る!生麦の由来と治安
横浜には18の区があり、みなさんは「横浜」と聞いてどんな場所を思い浮かべますか?
みなとみらい21地区 横浜中華街 横浜赤レンガ倉庫 山下公園 など…
これらの観光名所は有名で話題になりがちですが、他にも魅力ある街がたくさんあります。
ここでは、横浜市鶴見区にある「生麦」を紹介するコンテンツです。
地元民が語る!生麦の由来と治安
「生麦ってどんなところ?住みやすいまちなの?」
「早口言葉で『生麦・生米・生卵』って聞いたことがあるけれど、生麦という地名に何か関係はあるの?」
横浜市民でも意外と知らない人が多い「生麦」。
日本の歴史を大きく変えた歴史的事件があったことで有名な「生麦」。
今回は、そんな「生麦」がどんな街なのか、在住歴20年以上になる私が地元目線でお伝えします。
生麦駅のある「生麦」ってどんなところ?
生麦は、横浜市のなかでも東側の鶴見区にある街です。
隣接する地区でいうと、大黒町・岸谷・鶴見・鶴見中央・神奈川区などがあります。
生麦は、駅周辺が国道15号線(第一京浜)にも面しているため、人通りや車通りなどが多い場所です。
最寄り駅は、京急線「生麦駅」となっており、電車は「普通(各駅停車)」のみが停車する駅となっています。
しかし、通勤ラッシュ時には京浜工業地帯ということもあり、多くの通勤者で混雑します。
京急線「生麦駅」から「横浜駅」まで約10分、「品川駅」まで20分で行けます。
また、京急線「花月総持寺駅」やJR鶴見線「国道駅」へは歩いて約10分で行くことができるのです。
「花月総持寺駅」と「国道駅」については、別のコンテンツでもお伝えしています。
こちらもあわせてご覧ください。
花月園は横浜 鶴見「東洋一の遊園地」があった街 – 横浜で暮らそう
生麦は、アクセスの良さも魅力の1つとなっており、ファミリー層や一人暮らしにも住みやすい街なのです。
高速道路は、2017年に開通した「横浜北線」(横羽線~第三京浜)を利用すると、車で新横浜へ約10分です。
車通勤者にはとても便利ですね。
また、大黒ふ頭には車で「生麦駅」から10分の場所にあります。
夜になると、ライトアップした高速道路や横浜ベイブリッジがとても美しく、ドライブにも最適です。
間近で見れる大黒ふ頭へぜひ一度訪れてみてはいかがでしょうか。
「生麦」という地名の由来
生麦は、横浜市鶴見区にある「歴史が長く、人情味溢れる」下町です。
生麦という地名の由来には、諸説あります。
- 江戸幕府初代将軍・徳川家康が大名行列で旧東海道を通った際、道がぬかるんでいたため、
畑にあった麦の穂を敷き詰めて道を整備した - この地では、ミル貝などの生貝が多く獲れ、むき身にして生計を立てていた家が多かったため、
「生むき村=生麦村」となった
生麦は、江戸幕府初代将軍・徳川家康が通った逸話に由来する歴史ある街なのです。
現在の生麦という地名は、1980年まで存在していた「生麦町」一帯の地域の名残りによるものです。
歴史的な出来事が起こった「生麦事件」
生麦事件とは、1862年(文久2年)9月14日に旧東海道の生麦村で起きたイギリス人殺傷事件です。
これは、旧東海道を薩摩藩の行列にイギリス人が乗る騎馬が突発的に乱入してしまい、藩士たちがイギリス人を殺傷(1名死亡、2名重傷)した事件です。
尊王攘夷運動が高まっていた日本情勢に「生麦事件」が大きな政治問題の引き金となり、1863年(文久3年)のちの薩英戦争へと発展しました。
1885年(明治18年)に当時の日本情勢とイギリス人リチャードソンの非業の死を悼み、旧東海道沿い現在の生麦4丁目付近に事件発生現場案内板が、1丁目付近に石碑が建てられました。
この「生麦事件」は歴史の教科書にも載るほど有名で、忘れてはならない痛ましい事件でした。
横浜の市民にとってこの事件発生現場案内板はとても有名で国道15線を通ると見かける案内版ですので、ここで生麦事件が発生したと思われがちですが、
生麦事件発生現場はこの看板から900メートルほど離れた旧東海道の場所にあります。(生麦事件発生現場の写真)
旧東海道は住宅街の中の道ですので、発生現場も通り過ぎてしまいます。
京急「生麦」駅から生麦事件について場所を見たい方は、生麦駅の東口から生麦駅入口に向かい、国道15号線を超えて旧東海道(目の前がキリンの建物口)を左に曲がると生麦事件発生現場、右に曲がると生麦事件碑になります。
離れた場所にある理由は次の引用の中にあります。
幕府改革の勅命を幕府に伝える勅使大原重徳の護衛の任を終え、江戸から京都に帰る薩摩藩主の父、島津久光の一行4百余名の隊列が生麦村にさしかかったとき、神奈川方面から馬を走らせてきた外国人4人と遭遇した。
その日は日曜日だった。上海在住のイギリス商人リチャードソン、その友人で香港商人の妻ボラデール夫人、夫人の義弟で横浜在留商人マーシャル、横浜のハーバード商会のクラークは、川崎大師見物へ行くべく、のどかに語り合いながら馬を走らせていた。4人の外国人に対して、行列を警護する武士たちは行列に近づかないように、下馬をするようにと身振り手振りで要求した。しかし、イギリス人たちは、大名行列が通るとき土下座するという日本の国の習慣を知らなかった。言葉も分からずただ右往左往しているうちに行列に巻き込まれてしまった。リチャードソンは列から抜け出そうと馬の手綱を引いたところ、馬首を久光の乗っている籠に向けてしまい、籠を警護していた供頭の奈良原喜左衛門に斬りつけられた。警護の武士たちも深手を負ったリチャードソンに斬りかかった。驚いた馬は心臓を突き刺されたリチャードソンを乗せて、きびすを返して神奈川方面に走った。リチャードソンは600メートルほど離れた松原で落馬し、落命した。リチャードソンが落命した辺りに生麦事件碑は建っている。
第1回:幕末の動乱期の外国人殺傷事件・生麦事件(その2) 横浜市鶴見区
参考:第1回:幕末の動乱期の外国人殺傷事件・生麦事件(1) – 横浜市鶴見区
参考:第1回:幕末の動乱期の外国人殺傷事件・生麦事件(2) – 横浜市鶴見区
生麦の伝統芸能「蛇も蚊も祭り」
生麦で江戸時代から続く、無病息災や子供達の健やかな成長を願う伝統行事です。
蛇も蚊も祭りは、約300年前に悪疫が流行し、萱(かや)で作られた蛇の胴体に悪霊を封じ込め、海へ流したことでお清めしたことがはじまりとされています。
現在では、横浜市無形民俗文化財に指定されており、毎年6月第1日曜日に開催されます。
参考:第5回:鶴見の伝統芸能(その3)- 横浜市鶴見区
おすすめスポットがいっぱいの生麦
ここからは、生麦のおすすめスポットについてです。
生麦には、おすすめスポットがたくさんありますが、特に人気の高い場所を厳選してご紹介します。
「生麦魚河岸通り」でランチを堪能
生麦魚河岸通りは、約300mに約20店舗の鮮魚店やお食事処が軒を連ねている通りとなっています。
漁業の街「生麦」ならではの地元で獲れた新鮮な魚介類の購入や食事を一度に楽しむことができるのです。
毎年11月~1月の週末には、さまざまなイベントが実施されており、特に年末年始になると縁起物が目玉となります。
地元民の私も有名になり過ぎると混雑してしまうため、あまり紹介したくない「超穴場スポット」です。
横浜「生麦魚河岸通り」は年末おすすめスポット – 横浜で暮らそう
「キリンビール横浜工場」で工場見学
キリンビール横浜工場は、キリンビアビレッジ株式会社が所有するビール工場です。
2016年にリニューアルしたことで、工場のある建物全体はより一層スタイリッシュになりました。
生麦駅からは、徒歩15分となっていますが、駅から看板も出ているため、迷うことはありません。
このキリンビール横浜工場で一番の見どころは、ビールの工場見学ツアーです。
KIRINの人気商品である「一番搾り」が完成するまでの過程を楽しく見学できます。
見学内容は、麦汁の飲み比べ・麦芽の試食・ホップの香りを体験できるほか、工場設備や映像を使用したガイド付きとなっています。
工場見学における全体の所要時間は、約80分です。
工場見学へ訪れる際には、事前にホームページにて予約をしてから行くことをおすすめします。
見学の入場料や参加費などは一切かからず、すべて無料で楽しめます。
見学を終えた最後には、お待ちかねの「ビール試飲」があります。
ここでは、定番から新商品まで6種類ほどのビールが用意されているのです。
もちろん、ビール以外にジュースやお茶が用意されているため、お酒が苦手な方でも楽しめます。
この試飲では、最大でグラス3杯とおつまみが付いているため、かなりお得な工場見学となっています。
また、お土産を購入できる「KIRIN FACTORY SHOP」も併設されています。
ここでは、工場でしか手に入らない限定商品を販売しているため、要チェックです。
そのため、家族連れでも1日中楽しめる人気スポットになっています。
緑豊かな庭園に囲まれている敷地には、ビールと一緒に料理を堪能できるレストランが併設しています。
ここでしか味わえないKIRINビールが楽しめる、バーベキュー食べ飲み放題の「レストラン ビアポート」や、クラフトビールが楽しめるレストラン「スプリングバレーブルワリー横浜」もあります。
試飲終了後はその場で解散となっています。
そのため、ショップでお土産を購入しても良し、レストランでビールや食事を思う存分楽しむも良しです。
生麦で「学ぶ・楽しむ・食べる」が一度に味わえるのは嬉しいですね。
特に、ビール好きな方には見逃せない、イチオシのおすすめスポットです。
(※現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、横浜工場は休館しています。)
生麦で本格的な料理を楽しめる
生麦には、同じ場所で一度も引越さず、ずっと住み続けている人がとても多いことも特徴の1つです。
また生麦のある鶴見区は、京浜工業地帯が続いているため、工場が多く外国人の方も多く住んでいます。
そのため、国際色豊かな生麦には、インドカレーや中華などの本格的なお店が何軒もあります。
そして、世界各国の料理をリーズナブルな値段で味わえるのは「生麦」の特徴です。
また「生麦に住む」ことを考えると、行きつけのお店を作っておくのもアリですね。
生麦の治安について
ここからは、生麦に住むことになったら気になる「治安」についてお伝えいたします。
まず、生麦のある鶴見区の治安について横浜18区から比較します。
横浜市の統計によると、鶴見区の人口は第3位となっています。(2020年9月1日現在)
そこで「横浜市人口/世帯数」の上位5区を犯罪発生率から比較しました。(2020年9月1日現在)
(犯罪発生率=犯罪数÷人口×1,000)
順位 | 区分 | 犯罪発生率(%) | 人口(人) |
1位 | 青葉区 | 0.31 | 311,442 |
2位 | 神奈川区 | 0.43 | 246,116 |
3位 | 鶴見区 | 0.44 | 293,724 |
4位 | 港北区 | 0.49 | 356,368 |
5位 | 戸塚区 | 0.52 | 281,141 |
参考:2021年1~2月累月暫定値 刑法犯 罪名別市区町村別 認知件数 – 神奈川県警察
鶴見駅などへ行くと、繫華街が多く賑わっています。
生麦の治安については、心配いりません。
高齢化は進んでいますが、鶴見区の中でも特に地域に密着している街です。
そのため、まわりには学校・商店街・スーパーが多く、地元の人に見守られ、安心して暮らせます。
生麦は下町で住みやすい
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで、横浜市鶴見区にある「生麦」についてお伝えしました。
このコンテンツを通して、少しでも参考になれば幸いです。
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