花月園は横浜 鶴見「東洋一の遊園地」があった街
鶴見区には、花月園という街があります。
その最寄り駅は、京急線「花月総持寺駅」。
以前は「花月園前駅」という駅名でしたが、2020年に改名されました。
平成世代にとっては「ギャンブルの街」というイメージが強いですが、なぜ園なのか…。
今回は、そんな花月園と呼ばれるようになった歴史や今をお伝えいたします。
花月園は横浜 鶴見「東洋一の遊園地」があった街
かつては、花月園に「東洋一の大遊園地」と呼ばれた大型遊園地がありました。
その中には、観覧車やメリーゴーランド、動物園や室内スケートリンクなどがありました。
そのため、子どもから大人まで楽しめる施設として一世を風靡した場所だったのです。
多く人々で賑わっていた「花月園」の今と昔を、在住歴20年以上の地元民が歴史とともにご紹介します。
花月園ってどんなところ?花月総持寺駅について
花月園は、京急線・花月総持寺駅が最寄りの横浜市鶴見区生麦にある下町です。
京急線の横浜駅まで約10分、羽田空港まで約30分というアクセスの良さも魅力なのです。
2020年3月には、京急線が「花月園前駅」を「花月総持寺駅」と改名したことから、一躍話題となりました。
花月総持寺駅を通る路線は、合計11本です。
JR線や南武線などが乗り入れており、同時に複数の路線を見られます。
そのため、私が行った際にも鉄道ファンの方が撮影していました。
生麦については、こちらのコンテンツでもご紹介しています。
こちらもあわせてご覧ください。
「花月総持寺」の読み方
ここまで「花月総持寺駅」について紹介しました。
そもそも、この「花月総持寺」という読み方は知っていますでしょうか。
正解は…「かげつそうじじ」です。
私自身、この地名を知らない友人に「これを何と読むか」という質問すると、難しい顔をされます。
あまりスムーズに読める地名ではないのが正直なところです。
一風変わった地名からいじられることもありますが、覚えてもらいやすくなっています。
しかし、実は京急線「花月園前駅」のあった1911年に「総持寺駅」という駅も存在していたようです。
総持寺駅について
1911年~1944年
「総持寺駅について」花月総持寺駅 案内板 より
京浜電鉄(現 京急電鉄)の総持寺駅は総持寺の移転を機に旧東海道から正門に向かう参詣道にあった踏切の南方に開業した。1925年(大正14)年には、京浜電鉄が別会社として設立した海岸電気軌道が総持寺駅から大師駅までの路面電車を開通させ、乗り換え駅となった。しかし並行する貨物鉄道の鶴見臨港鉄道(現 JR鶴見線)が、1930(昭和5)年に旅客営業を開始したため、湾岸電気軌道は鶴見臨港鉄道に譲渡されて、7年後に廃止された。そして、1944(昭和19)年には総持寺駅も廃止となった。
もともと「花月園前駅」と「総持寺駅」の2駅は、近い場所にありました。
現在のJR鶴見線が、1930年に旅客営業を開始したことで「総持寺駅」は姿を消します。
改名された現在の京急線「花月総持寺駅」。
この歴史を知っている方なら、2つの駅が名前を残す形となったのは嬉しいですね。
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花月園の歴史
花月園
新橋の料亭花月楼の主人平岡廣高が1914年に開設し、観覧車、メリーゴーランド、豆汽車といった近代的遊具のほかにも、大山すべりやボート池、つり橋などの地形を生かした施設が人気を集めました。動物園や室内スケートリンク、大運動場まで抱えた敷地は、7万坪もあったということです。「西の宝塚、東の花月園」と称された花月園少女歌劇は、日本の子どもたちの憧れの的となりました。花月園は、ダンスホール発祥の地としても知られ、子どもだけでなく、大人も楽しめる施設として、一世を風靡しました。
花月園 – 横浜市
1914年、新橋の料亭「花月楼」主人・平岡廣高が大型遊園地を「花月園」にオープンしました。
その総面積は、約7万坪と広大でした。(東京ドーム約5個分の広さ)
そのため、当時は珍しかった観覧車やメリーゴーランドなどの近代的なアトラクションが多数あったそうです。
また、動物園や室内スケートリンク、食堂などもある複合型施設となっていました。
他にも、花月園はダンスホール発祥の地としても知られています。
花月園にあった少女歌劇は、あの宝塚とともに「西の宝塚、東の花月園」と謳われ、子どもの憧れでした。
家族で1日中楽しめることもあり、入場料は当時大人が30銭、子どもが15銭だったそうです。
その後、花月園の経営難となり、1914年京浜急行に経営権を譲渡しました。
戦時中一度閉園し、戦後に遊園地として再開しましたが、1946年に閉園しました。
そして、1950年に花月園競輪場として生まれ変わりました。
60年続いた競輪場も2010年に閉場しました。
この場所は、2021年に広大な住宅地と「鶴見花月園公園」が完成しました。
鶴見区の花月園前駅(京急本線)に近接する花月園競輪場の跡地については、平成22年3月の競輪事業の廃止を受け、神奈川県主催による検討会を設置し、その利活用に関する検討を行いました。
鶴見花月園公園 – 横浜市
検討会による検討結果のとりまとめでは、競輪場跡地に隣接する民間企業社宅跡地を含めて一体的に面整備を行うことが望ましいとされ、独立行政法人都市再生機構(UR)が事業主体となる防災公園街区整備事業の方向とすることが示されました。
このとりまとめを踏まえ、地区公園と隣接する住宅地等との一体的な整備を推進します。
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花月園のまわりを散策
花月園は商店街や公園、飲食店が多いため、とても便利です。
商店街の中には、スーパーや美容院、クリーニング店、保育園、文房具屋などがありました。
一度で済ませられことも魅力の1つです。
その中から、私のおすすめスポットを厳選して3つご紹介いたします。
錦水(焼肉)
週末は地元の人で満席になる、お肉が美味しい焼肉屋さんです。
私も子どもの頃から通う、お気に入りのお店です。
特にタンやホルモン、カルビが人気のメニューです。
1品あたりの単価は少し高めですが、それだけの価値はあります。
「錦水」
営業時間
[火~金]17:30~22:00 [土・日・祝]17:00~22:00
定休日
月曜・祝日(予約ありの場合は営業)
(※営業時間、定休日は異なる場合があります)
ふくべ菓子舗(和菓子)
1928年(昭和3年)創業、この地で三代続く和菓子の老舗です。
地元の人なら知っている、有名な和菓子屋さんです。
私は地元の小学校に通っていましたが、毎年の運動会で配られる紅白饅頭は「ふくべ」さんの饅頭でした。
安定の美味しさだったのを今でも覚えています。
黒糖生地で包まれたこしあん饅頭の「子そだて饅頭」がお店の看板商品です。
子そだて饅頭とは、東福寺という寺院に奉られている子育観音からちなんだものです。
花月園遊園地があった頃からの名物お菓子でした。
一度は販売が終了したものの、「街ゆかりの名物」として2009年に復活しました。
「四季の和菓子 ふくべ菓子舗」
営業時間
9:00~18:00
定休日
水曜日(月2回・火曜も休み)
(※営業時間、定休日は異なる場合があります)
生麦魚河岸通り
旧東海道沿いへ少し行けば「生麦魚河岸通り」があります。
この生麦魚河岸通りは約300m続いており、生麦のアメ横という感じでしょうか。
地元の方々に愛される下町の魚河岸です。
現在も約20店舗の鮮魚店やお食事処が営業しています。
年末年始になると賑わう通りとなっているため、訪れた際にはぜひ立ち寄ってみてくださいね。
花月総持寺駅へのアクセス
前述にもある通り、京急線の横浜駅まで約10分、羽田空港まで約30分です。
そのため駅数が多くても、あっという間に到着してしまいます。
そんな鶴見にある「花月総持寺駅」はとても穴場な街なのです。
また、近くにはJR鶴見線「国道駅」があり、徒歩5分圏内に2つの路線が乗り入れています。
昭和レトロな駅舎は、ファンの間でとても人気のある場所となっているのです。
このように、アクセスの良さも「花月総持寺駅」における魅力の1つですね。
参考:京急電鉄の路線図PDF
花月園に20年以上住んでみて
花月園に20年以上住んでいる私はもともと「東洋一の遊園地」があったことは知っていました。
そのため、今回当時の資料などを詳しく調べてみて「行ってみたい」と思いました。
「花月園」は商店街や学校、公園などが多いため、ファミリー向けの住みやすい下町です。
現在は開発が進み、京急線も「花月総持寺駅」として改名され、生まれ変わりつつある街なのです。
そんな下町「花月園」に一度は訪れてみませんか。
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