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横浜の秘境駅「JR鶴見線」でぶらり旅

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横浜の秘境駅「JR鶴見線」でぶらり旅
横浜市鶴見区と川崎市川崎区の海沿いを走る「JR鶴見線」をご存知でしょうか。
乗降者数や運行本数の少なさから都会のローカル線と呼ばれる「JR鶴見線」。
このコンテンツは、鶴見線の中でも横浜市鶴見区に停車する秘境駅についてご紹介します。

横浜の秘境駅「JR鶴見線」でぶらり旅

都会の電車といえば「待てば来る」というイメージがあります。
しかし、そんな常識を覆すのがJR鶴見線です。
時間帯によって雰囲気が異なることや秘境駅に停車することが魅力の1つです。
JR鶴見線は、乗降者数や運行本数の少なさから「都会のローカル線」と呼ばれています。
ほとんどの駅周辺には観光スポットがなく、都会にありながら無人駅となっているのです。
今回は、JR鶴見線でも鶴見区の秘境駅で途中下車し、見どころについてお伝えします。

横浜を走る 都会のローカル線「JR鶴見線」ってどんなところ? – 横浜で暮らそう

JR鶴見線の出発は「鶴見駅」

ここからは、横浜市鶴見区を走るJR鶴見線の全8駅のうち、4駅に途中下車します。
旅のスタートは、JR鶴見線で唯一の有人駅である鶴見駅です。
鶴見駅は、品川駅まで約20分/新宿駅まで約40分と、アクセスがとても良い駅です。

しかし、平日になると運行ダイヤが極端に少ないため、あらかじめ時刻表を確認しておきましょう。
また、今回の目的地である海芝浦駅へ行くには「海芝浦方面」電車への乗車であることもチェックします。
それでは、横浜の秘境駅を巡るJR鶴見線のぶらり旅へ出かけましょう。

鶴見駅は西口と東口では異なる顔を持つ – 横浜で暮らそう

昭和レトロな雰囲気を楽しむなら「国道駅」

まず1つ目は、鶴見駅から1駅(約2分)の国道駅で途中下車します。
駅名は、旧東海道と国道15号線(第一京浜)の交わる場所にあることが由来しています。
国道駅で1番の見どころは、昭和レトロな雰囲気漂う歴史ある駅舎です。

なお、JR鶴見線すべての駅でホームは全体的に狭く、電車との距離が大きく広がっています。
そのため、大人でも慣れていない方は、足を取られてしまうため、注意が必要です。

高架にあるホームには、上下線ともにベンチが置いてあるだけでエレベーターなどは一切ありません。
自動改札機はなく、簡易的なICカード専用改札機だけが設置された静かな無人駅です。
ホームを降り、改札口を出たガード下には、昭和レトロな雰囲気が広がっています。

鶴見線「国道駅」改札
鶴見線 国道駅 駅舎

タイムスリップしたような懐かしい雰囲気が残っています。
そのため、映画やドラマなどのロケ地としても使用されるほど有名な駅なのです。
過去には、ドラマ「男女7人秋物語」や「華麗なる一族」などの撮影も行われました。

国道駅周辺を散策するのに、おすすめなスポットを2つご紹介します。
1つ目は、現在も夕方から営業している唯一の飲食店「やきとり国道下」です。
店内には、撮影中に訪れた木村拓哉さんの直筆サインと写真が飾られていました。

国道駅 やきとり国道下

駅を出ると、下町の魚河岸「生麦魚河岸通り」が広がっているのです。
全長300mに、約20店舗の鮮魚店やお食事処が立ち並びます。
ここは、一般の方も利用できるため、朝は地元民の方々も買い物に訪れる穴場スポットなのです。

食事処 生麦

毎年、年末年始になるとお正月のおせちで使う海鮮を求め、お祭りのように賑わいます。
そのため、地元民以外の方々も車や電車で訪れるなど、大勢の方が買い物に来られますよ。
ご近所なら自転車で、遠方なら車や電車で。
他にも、伝統芸能の披露や屋台・キッチンカーなども出店するのです。

発泡スチロールに詰められた魚は、通りまではみ出してずらりと並んでいました。
店主が長いゴムエプロン姿で元気よく「いらっしゃい~」と声をかけてくれます。
魚介類を見ていると「並んでいるのは1本から誰でも買えるよ」と。
そして「魚を捌いてほしい、貝を剥いてほしいとかあればこっちでやるから声かけてね」。
また、どのように調理して食べたら美味しいかなども丁寧に説明してくれました。
新鮮なのはもちろん、季節限定の旬な魚介類などが購入できるのは嬉しいですね。

また、国道駅は開業して90年の年月が経っていますが、外観はほとんど変わっていません。
そのため、時代を乗り越えてきた建物には、今でも貴重なものがたくさん残っています。
なかでも、外壁にある第二次世界大戦末期で被弾した、アメリカ軍用機の銃弾痕です。
この駅舎は、横浜大空襲などの大きな被害から逃れている歴史があります。
そのため、現在でも後世に伝え継がれる貴重な建物として学びに生かされているのです。
鶴見区育ちの私自身は、小学校で授業の一環として、地元の方から国道駅の歴史や戦争当時の体験談を伺いました。

国道駅舎 第二次大戦の跡

そして、国有化以前の鶴見線には、高架下に商業施設「臨港デパート」があったそうです。
地元の方によると、食品・玩具・洋服・雑貨・日用品などが販売されていたそうです。
記録には残っているものの、写真などの現存する資料はありません。
そのため、謎に包まれている「臨港デパート」の真偽は、未だに不明です。
駅舎からは、歩んできた時代と歴史の長さを感じることができますね。

鶴見線「開業当時の国道駅」 – Wikipedia

近くには京急線「花月総持寺駅」も歩いて約5分の場所にあるため、乗り換えも便利です。
朝は「生麦魚河岸通り」で朝食、夜は「やきとり国道下」で夕食がおすすめです。
気になる方は、足を運んでみてはいかがでしょうか。

国道駅は横浜で昭和の歴史を語る駅 – 横浜で暮らそう

横浜「生麦魚河岸通り」は年末おすすめスポット – 横浜で暮らそう

JR鶴見線の下町「鶴見小野駅」

次に2つ目は、鶴見駅から2駅(約3分)の鶴見小野駅で途中下車します。
向かい合うホームは狭く、鶴見駅方面にベンチが1つあるだけで、住宅街にある駅舎は無人駅。
下町ならではのどこか懐かしい雰囲気です。

駅からは首都高速道路・横羽線が近くに見えるため、車のアクセスも便利です。
上下線のホームはそれぞれ独立しているため、相互移動はできない不思議な造りとなっています。

駅を降りると、すぐに商店街が広がっており、地元の方々で賑わっていました。
商店街には、飲食店・コンビニ・薬局など充実しているため、夜に駅を利用しても安心ですね。

踏切を渡った駅の反対側には、駅のシンボルである立派な桜の木が満開となっていました。
商店街の他にも、公園・マンション・高校・大学があり、暮らしやすい街となっています。
残念ながら、途中下車して楽しめるような観光スポットはありません。
ただ、歩いて約5分の場所には鶴見川があるため、散策してみるのもアリですね。
なお、鶴見川を挟んだ向こう側は「生麦事件」で有名な生麦地区となっています。
地元民が語る!生麦の由来と治安 – 横浜で暮らそう

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京浜工業地帯と沖縄タウンの「弁天橋駅」

そして3つ目は、鶴見駅から3駅(約4分)の弁天橋駅で途中下車します。
弁天橋駅という駅名の由来は、以下のようになっています。

駅近くに漁師の守護神「弁天神」が奉られている池があり、その池に赤い橋が架かっていたことから駅名が付けられた。

弁天橋駅 – Wikipedia

全13駅中10駅が海側にあるJR鶴見線は、京浜工業地帯の中心部を走っています。
そのため、弁天橋駅は、JR鶴見線で京浜工業地帯の景色へと変化する駅なのです。
JFEエンジニアリング株式会社の本社が弁天橋駅に隣接しているほか、周囲にはたくさんの工場があって圧巻です。

弁天橋駅

弁天橋駅は、踏切を渡って改札を通る無人駅となっています。
駅舎自体は、2018年に建て替えられたばかりのため、とてもキレイでした。

ちょうど桜を見ることができましたが、平日の昼間でもホームはこの静けさ。
さすが「都会を走るローカル線」と言われるだけありますね。
この静かな弁天橋駅も朝と夜の通勤時間帯になれば、周辺で働く方々で混雑するのです。

弁天橋駅の改札口を出てすぐのところに、定食屋とコンビニがありました。
しかし、コンビニをよく見てみると「6:30~22:30/土日祝休」と記載されています。
一般的に24時間営業が多いコンビニで、通勤客に合わせた平日のみに営業している珍しい店舗です。

他にも、駅から歩いて約10分の場所には「沖縄タウン」があります。
この沖縄タウンは、横浜市鶴見区で沖縄の食材や民芸品が購入できるお店や、飲食店などが多く並ぶ地区です。
特に、沖縄タウンとして賑わっているのが「仲通商店街」です。

おきなわ物産センター
自販機 沖鶴地区 沖縄タウン

1920年以降みられた、主に大阪府や神奈川県への出稼ぎ労働者は毎年1万人以上となり[19]、その子孫らは大阪府大阪市大正区と神奈川県横浜市鶴見区に暮らしている

沖縄県の人口統計 – Wikipedia

鶴見区は京浜工業地帯の一角に位置しており、かつて沖縄を中心に全国から多くの人が集まり、工場などで働く人が住む街として発展してきました。現在も区内各地に沖縄の物産展や飲食店が存在し、エイサーなどの伝統芸能の催しが行われています。

沖縄タウンつるみマップ – 横浜市
仲通商店街 潮田町
仲通商店街

第二次産業(明治~昭和)が盛んとなり、京浜工業地帯も発展していきました。
そのため、労働力が必要となり、当時では農業が中心だった沖縄県民が収入を得るために大阪や横浜に出稼ぎへ上京してきました。
沖縄から出稼ぎする多くの人々が鶴見に移り住んだことで、このような街ができたのです。
沖縄タウンでゆっくりしながら「沖縄ならでは」の食事もおすすめです。

沖縄 ソーキそば

横浜 沖鶴地区「沖縄タウン」ってどんなところ? – 横浜で暮らそう

改札口から出られない 横浜の絶景スポット「海芝浦駅」

最後4つ目は、鶴見駅から7駅(約9分)の終点・海芝浦駅で下車します。
今回は、浅野駅に途中下車しないため、これが4駅目で終点です。
海芝浦駅は、海が見える駅として有名な駅です。
ホームの目の前には、東京湾へ続く海が広がっています。
また、京浜工業地帯で工場が立ち並んでいるこの場所は、ライトアップされた夜景もおすすめです。

この絶景を一望できる海芝浦駅は「関東の駅百選」に認定されており、鉄道ファンのみならず人気の駅なのです。
JR鶴見線の絶景な駅としても有名な一方で「改札口から出られない駅」でも有名です。
「改札口から出られない駅」と聞いて驚くと思いますが、その謎は改札口にあります。

1か所のみの海芝浦駅改札口は「株式会社東芝京浜事業所」の工場に繋がっています。
そもそも海芝浦駅は、東芝の従業員だけが利用するために造られた駅なのです。
そのため、駅全体が東芝の敷地内となっており、一般の方々は立ち入り禁止となっています。
また、東芝の建物は撮影も一切NGのため、気を付けましょう。
ただ、この駅の絶景を一般の方々が楽しめるように併設され、唯一立ち入ることができるのが「海芝公園」です。

海芝公園(うみしばこうえん)は、海芝浦駅に隣接する私設公園[7]。東芝が当駅の待合客に憩いの場を提供したい[8][9]との考えから、東芝エネルギーシステムズ京浜事業所が敷地の一部を整備し「海芝公園」と名づけ運営・管理し、一般客に開放している。1995年(平成7年)5月に開園[10]。2006年現在、入園無料、開園時間は9時 – 20時30分。ただし、元日は初日の出を拝む客のために、始発電車の到着時に開園する。

海芝浦駅 – Wikipedia
海芝公園

目の前には海が広がり、工場地帯や横浜ベイブリッジの景色も一望できます。
昼と夜で雰囲気が異なる海芝公園から見える絶景は、おすすめです。
園内には、ベンチや季節の植物があるため、お弁当を持参した家族連れも見かけました。
心地良い海風を感じながら、ピクニックなどでゆっくりとした時間を過ごしてみませんか。

公園で楽しんだ後は、もちろん駅から出られないため、また駅に戻るしかありません。
過去には数人の乗客が運行ダイヤを確認しなかったため、最終電車を逃して帰れなくなったことがあったようです。
そのため、海芝浦駅を利用する場合は、必ず運行ダイヤを確認して乗車しましょう。

「JR鶴見線」に乗ってぶらり旅を楽しもう!

最後まで読んでいただきありがとうございます。
ここまで、横浜市鶴見区を走る「JR鶴見線」の秘境駅についてお伝えしました。
少しでも参考になれば幸いです。
今回も平日の昼間に乗車しましたが、このガラガラな乗車率はまさに「ローカル線」ですね。

横浜を走る鉄道に対して、ギャップが多いことも人気の秘密です。

  • 都会には珍しいローカル線の無人駅
  • アクセスは良いけれど本数が少ない
  • 廃墟のようなレトロな雰囲気

そんな魅力溢れる「JR鶴見線」の特徴は「非日常的な空間を満喫できること」です。
あたたかくなり、途中下車しながら駅周辺を散策するにはぴったりの季節となりました。
ディープでマニアックな「JR鶴見線」の秘境駅を、1日のんびりと巡ってみませんか。

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