桜は横浜 泉区で
春が近づいてくると、なんだかソワソワ、ウズウズしてきます。そろそろお花見の季節!と、日本人の血が騒ぎ出します。
新型コロナウイルスの感染拡大で、今年もお弁当を持ってのお花見は難しそうですが、お散歩がてら、なら今年もなんとかなるかもしれません。
「花」と言えば桜を指すようになったのは、実は平安時代以降なのだそうです。奈良時代までは、中国文化の影響が強く、「花」と言えば梅を指したのだとか・・・。今ではおなじみの「ソメイヨシノ」が生まれたのは、江戸時代のこと。桜には変異しやすい特質があり、日本ではお花見目的に多くの栽培品種が野生種から作出されてきたそうで、現在200種(分類方法によっては最大600種とも言われています)もの多種多様な栽培品種が開発されているそうです。そんなにたくさん!と、驚くばかりですね。
ところが、明治時代に入り、ソメイヨシノばかりが植えられるようになり、さらに、戦後の高度背経済成長期には、ソメイヨシノの植樹が全国的に進められ、ソメイヨシノは日本で最も多く植えられた栽培品種になったというわけです。なるほど、ソメイヨシノばかり見るわけですね。
実は、今でも桜の栽培品種の開発は続けられているそうで、実は泉区にも「いずみ桜」という新種の桜があります。これは「公益財団法人日本さくらの会」により認定された、泉区ならではの桜です!元々は近隣住民の庭で育てられていた「あたみ桜」という品種を接ぎ木して開発した新種の桜で、1つの蕾から2〜3の薄いピンク色の花が咲き、同じ木の中で一重と八重が混ざって咲くこともあるそうです。
「いずみ桜」が見られるのは、ゆめが丘駅から境川遊水池や天王森泉公園方面に向かう手前にある「いずみ桜広場」。しかも、ソメイヨシノより一足早い2月下旬~3月中旬には開花します。一足早めにお花見を楽しむことができる貴重なスポットになりそうです。
弥生台駅の桜トンネル
相鉄いずみ野線沿線で最も有名な桜スポットと言えば、なんと言っても弥生台駅です。桜の季節ともなれば、カメラを手にしたアマチュアカメラマン、通称「鉄ちゃん」が多く駆けつける人気スポットとして知られています。
長さ200mほどのホーム両側の土手には、昭和51年の開業以降に植えられたおよそ50本のソメイヨシノの木が並び、見事な花を咲かせます。それは、さながら「桜のトンネル」のよう!散り始めには、桜吹雪の中を濃紺の相鉄車両がホームに入ってくる、鉄道ファン垂涎の風景が展開します。
そんな風景を、食事を楽しみながらゆっくり眺められるのが、線路沿いにあるフレンチレストラン「ペタル ドゥ サクラ」です。これは、相鉄がプロデュースする「相鉄沿線名店プロジェクト」の一貫で誘致された飲食店の第1号店。ランチもいいですが、ライトアップした夜桜を楽しみながらのディナーも楽しそうです。
西林寺の枝垂れ桜
日本三大桜として知られるのが、福島県「三春滝桜」、山梨県「山高神代桜」、岐阜県「根尾谷薄墨桜」ですが、今年はコロナ禍で足を伸ばすのは難しそうです。
そこで、おすすめなのが浄土宗「西林寺」のしだれ桜。弥生台駅から39系統の神奈中バスで「西林寺入口」下車。岡津消防出張所の斜め前にある、お寺入口に佇む大きな古木です。
その樹齢は、何と160年。横浜市の名木古木にも指定されています。見上げるほど大きな木から、地面につきそうな程ほどに垂れ下がる桜の枝は、満開時にはさながらピンクのカーテンのよう。一般公開されていますので、お花見シーズンには多くの見物客で賑わいます。
このお寺には、この他にも樹齢550年以上と言われる黒松もありますので、一度は訪れてみたい泉区の名所の一つです。
正式名称は、亀鶴山一心院西林寺。先代のご住職は、浄土宗研究者の第一人者として知られ、戸塚区・泉区の郷土史家でもあった大橋俊雄氏。長禄4年(1460年)に中丸左衛門尉定昭が神奈川宿慶運寺音誉聖観上人(後に芝増上寺第3世となる)の門弟・団誉閑悦を招請して通称首切り山の麓に開山し、後に徳川家康の側室お万の方(出家して清源院と名乗った)の草庵があった跡地に移転してきた由緒あるお寺です。
緑園都市・四季の径と観音寺(新橋町)の桜
もっと手軽にお花見散歩を楽しみたい!という時に訪れたいのが、緑園都市「四季の径」の桜並木です。
緑園都市駅改札口を右方向に出ると、左手にあるのが「四季の径」。線路沿いの遊歩道沿いに、桜並木が続いています。途中にある広場にはベンチもあり、電車が大好きな幼児たちが電車を眺める愛らしい姿もしばしば見られます。こちらは八重桜も混ざっていますので、ソメイヨシノの開花時期が終わった後にも長い期間桜を楽しむことができます。
また、緑園都市駅から歩いて、新橋町の曹洞宗「観音寺」まで足を伸ばすと、こちらにも近隣の方々に愛されている桜の木が、美しく花を咲かせています。ここは、元和元年(1615年)に開山された、旧鎌倉郡観音三十三札所の二十三番札所です。お花見の後には、もう少し足を伸ばして、「新橋天神の森公園」を散策するのもいいでしょう。阿久和川には、運が良ければサギやカワセミなどの野鳥の姿も見られます。近くには、横浜市歴史建造物に指定されている「中丸家長屋門」もあります。現在もお住まいなので住居棟は見学できませんが、立派な長屋門をくぐり、庭先を見学することができます。
自然豊かな泉区で春を感じましょう
横浜市内でも屈指の自然豊かな区、それが泉区です。「それって、田舎ってこと?」という声が聞こえてきそうですが、相鉄JR相互直通運転でいずみ野・渋谷間が48分と1時間を切り、都心へのアクセスもとても良くなった地域です。2022年には相鉄・東急直通運転で、さらに便利になる、今注目の区です。
ここでなら、人混みにまみれることなくお花見が楽しめます。コロナ禍の今、それが何より有り難い!!中でも、「和泉川親水広場」や「地蔵原の水辺」には、川沿いに桜並木が連なり、土手の芝生やベンチでお弁当も楽しめそうです。荒川の土手の縮小版、ですね。「和泉川親水広場」では、その年の気候によっては菜の花と桜の共演も楽しめるかもしれません。
コロナ禍ですが、時には自然の中で深呼吸し、春を身近に感じて上手にストレスを解消してみてはいかがでしょう?